第4話 梨花の本性
梨花の彼、塁は、彼女が姿を消したと知った瞬間、強い不安に襲われた。彼はすぐに彼女の友人や家族に連絡を取り、どこに行ったのか聞き込みを始めたが、誰も彼女の行方を知らなかった。心配が募る中、彼は最後に梨花を見た場所を訪ね、手がかりを探すことにした。
梨花がいなくなったのは、彼女が通っていた大学近くの公園だった。彼はその公園を隅々まで歩き回り、小さな手がかりでもいいから見つけようと必死だった。夜が近づき、暗くなっても、彼は諦めなかった。しかし、その途中、奇妙なことが次々に起こり始めた。
まず、彼のスマートフォンが急に故障し、電源が切れてしまった。普段は滅多にそんなことが起きないため、彼は驚きつつも修理しようと試みたが、うまくいかなかった。それだけでなく、公園内で聞こえるはずのない不気味な声や、彼の背後を影がさっと横切る感覚に何度も襲われた。周囲を見回しても誰もいないのに、その影の存在感は消えない。
さらに、彼は公園の奥に進むにつれて、視界がぼやけ始め、方向感覚を失うような不安感に襲われた。まるで公園全体が彼を惑わせ、出られなくしようとしているかのようだった。不安と恐怖が交錯する中、彼は進むべき道がわからなくなり、暗闇に囲まれたまま立ちすくんだ。
突然、彼の前に現れたのは、一人の謎めいた老人だった。老人は静かに彼に近づき、「梨花を探しているのか?」と問いかけた。彼は驚きながらも、梨花のことを知っているのかと聞き返した。老人は意味深な笑みを浮かべ、「彼女は特別な場所へと導かれた。だが、そこに行くには覚悟が必要だ」と告げた。
彼は覚悟を決め、老人が指し示す方向へと進むことにした。しかし、これから先に待ち受ける困難や、梨花が向かった「特別な場所」とは一体何なのか、彼にはまだ知る由もなかった。彼の冒険は、さらなる謎と試練に満ちていくことになるのだった。
梨花が姿を消してから数日、彼は彼女の行方を追い続けていた。手がかりはほとんどなく、彼は絶望感に打ちひしがれていたが、次第に梨花の行動に関する奇妙な事実が浮かび上がってきた。彼女の友人たちが話すエピソードには、彼の知っていた梨花とはまったく異なる側面があった。
友人の一人は、こう語った。「梨花ってさ、よく夜中に一人で古い廃屋に行って、何か不思議な儀式みたいなことをしてたんだよね。何をしてたのかはよくわからないけど、いつも変わったものを持って帰ってきたんだ。骨とか、古い本とか……」
彼は信じられなかった。そんな話を聞いたことは一度もなかったし、梨花は知的で真面目な女性だと思っていた。だが、さらに調べていくうちに、梨花が何年も前から不可解な行動をしていたことが次々と判明した。
別の友人はこう言った。「彼女、いつも不思議なことを言ってたんだ。たとえば、”この世には見えない扉があって、その扉を通ると別の世界に行ける”とか、”私には特別な力がある”とかさ。冗談かと思ってたけど、だんだん本気で言ってるみたいだったから、少し怖くなって距離を置いたんだ」
彼は頭が混乱した。自分の知っている梨花は、そんな突飛なことを言う人物ではなかったはずだ。しかし、さらに調べを進めていくうちに、彼は驚くべき真実にたどり着いた。梨花は昔から、オカルトや奇妙な儀式に強い興味を持っており、自分だけの「秘密の世界」を築き上げていたのだ。
そして、彼女が失踪する直前、梨花はその「別の世界」に行こうと本気で計画していたことがわかった。彼女の部屋には、古代の象徴や不気味な図案が描かれたノートや、暗号のような記述が残されていた。それは、彼がまったく知らなかった梨花の「狂気」の一端だった。
彼はついに、梨花が向かった場所の手がかりを掴んだ。それは、人里離れた山奥にある廃墟で、かつて儀式の場として使われていたと言われている場所だった。そこに何が待ち受けているのか、梨花が本当に「別の世界」に行こうとしていたのか、彼は確かめるために向かう決意を固めた。
梨花は実は、普通の女性ではなく、常識の枠を超えた世界に魅了され、現実を超えた何かを追い求めていた変人だったのだ。そして、彼がその真実にたどり着いたとき、彼女の行動の謎がすべて明らかになるかもしれない。ただし、その結末がどのような形で彼を待ち受けているのか、彼にはまだわからなかった。
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