第5話ガム

あれは忘れもしない、小学6年生の時。


この先は、危険です。

勇者よ進み給え。


うちの父親はそれはそれは怖い人であった。


2歳歳下の弟がいた。

そろばん塾に通っていたが、弟の顔の色が悪い。

近付けば、うんこ臭い。

「うわっ、お前うんこ漏らしただろ?くっせぇー」

といじめていたら、半泣きでそろばんを弾いていた。

先に弟は帰った。


帰宅すると、弟は風呂に入っていた。


次に父親が風呂に。

その後に僕が入った。

夕食が終わって、父が言った。


「ヨシの後に風呂に入って、風呂場にガムが落ちていると思って父ちゃんが剥がして、匂いを嗅いだら、ないよ!ガムじゃなか!クソやったが」

と、焼酎を飲みながら言った。


弟のヨシは、うんこを漏らしていたのだ。

うちは農家だったので、普通の服と農業用作業着の洗濯機は分けていたのだが、ヨシの制服は作業着洗濯機で洗われていた。


あれは笑った。

父親にガムと思わせ、うんこを風呂場に落とし、指で拾わせ、匂いを嗅がせ、してやったり。

我々は爆笑した。

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