第3話

俺は何時間も放置されていたが、やがて眠くなってうとうとし始めた。すると、若い女の看護師がやって来た。プレイメイトかと思うようなメリハリボディのいい女だった。俺の足元でガサガサと何かやっていた。俺は声を掛けたかったがうまく声が出なかった。


「どうしたの?痛いの?」

看護師は甘ったるい声で囁いた。俺は首を振ろうとしたが動かなかった。

「痛いかもしれないけど我慢してね」

そして、俺の手を取ると血圧を測った。

何かに書き込んで看護師の女は去って行った。


その後、別の美人看護師がやって来て、俺に声を掛けた。

「江田さん、今からお昼ですよ」

俺は緊張して女が何をするか見ていた。入院着の腹の辺りをはだけると、何とそこには腹の上に直接チューブが刺さっているじゃないか。俺はショックを受けて看護師が食事を準備するのをただ見ていた。俺は気が付かないうちに胃ろうの手術をしていたらしい。直接胃に入れてしまったら味がわからないじゃないか!俺はステーキが食いたいんだ。


俺は物を嚙むことも飲み込むこともできるのに、何で胃ろう手術なんかされたんだろう。妻のバーバラが俺の財産を独り占めするために、俺を寝たきりの病人に仕立てたんだろうか。


まさか…。

妻は俺を愛していたはずだ。


俺は天井を見ながら泣いた。

何でこんな風になってしまったのか。

俺は愛する人に裏切られて、こんな不自由な体にさせられている。

指一本動かすことも、声を出すことも出来ない。

一体なぜ…。


男ができたのか?

それとも金か?

俺はずっと泣いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る