第11話

いこいの時間

〇+。-------------------------------------------------






―3年C組 教室お昼時間―


エンは、ごみぱっくをせっせと作って、グループに配る係です。

よく、広告用紙や新聞紙を、おりがみして、グループの真ん中に配置するのだ。

除菌シートや紙でできたパックの飲み物。

それを入れて捨てる小さな箱だ。


エンを含む児童職員は、机に座りますと、姿勢を正し¨いただきます¨と元気よく声を出しました。


「うー…。」

「どったの、エンー?」

「あれ忘れた…ハンカチ。」

「拭くもの?はいっ、使っていいよー。」

「カイくん、いいのお…?」

「いいよーお。だから、昼休み、みんなでドッジボールねっ。」

「………っう、うん !」


エンはお昼休みが待ち遠しく、誘われてなんだかうれしそうだ。

忍び寄る背後の黒い影を背に。



『……………。』



赤く光る鋭利な目が、こっちをじっと見ている。

お昼休み、靴箱へ急ぎ、シューズを靴と履き替える。

その時。


「あれ?」


ない。


クラスメイトの子が話しかけてきた。

「どうしたのー。」

「昼休み終わっちゃうよー。」


「う、うん…。」


エンは、しょぼくれて職員室に出向き、歩いて行きました………。


黒い魔獣は小さな靴に牙を食い込ませながらも、遠慮は無しに、闇の中に持ち去って行きました。


『…ふんっ…。俺は獣の中に魔の血が潜む、魔獣だぜ?……あまちゃんよぅ。』


ウィザレッドは、エンの目に届かない所からこちらを眺め、窓から観える景色を揚々と堪能し、再びイビルゲート(闇の中)に姿を消しました。



皇帝ドッジボール

「カイくーん、教室もどろーっ !」

「…。うーん。」

「どうしたのカイー?」

「エン、来ない…。」


「先に行ってるねー」

「うん…。」


カイは、ふと桜の木を見上げました。

校庭に立派な桜の木。

花びらが落ちる度に。

自分の何かも散って。


何かの儚さを感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る