第41話 フランシス領コーチム~竜国(海竜・南竜) 竜の住処<3>
海竜は、川の河口デルタ地形といくつかの島からなる土地だ。
アルビオンの資本により、本土より上手く金融機関が動いている。そして、大型の貿易港を持つ。
頭の上に複耳をもつ一般人が多い。猫人間、犬人間など、だ。
ついで人間種だ。エルフ種は少ない。
私たちは喫茶店に入り、外のテラス席で、南王の
ふと、太陽の光が消えて、真っ暗になり、風が吹いた。
きゅー、とアルトが鳴いた。だらーっと、
「相変わらず、兄貴は図体でかいな」
「そういうお前はその座り方、態度がでかいぞ」
「……ただいま」
「おかえり、
すでに太陽の光が戻り、風は消えた。
あの影は竜が飛んできたから出来たものだった。
その竜は、今、目の前で2メーター超えの人型になった。何処となく、青白い肌色をしている。薄青い長い髪を束ねている。目の色は
彼が南王の
「きゅっきゅ!」
「おお、これはアルトゥス先生。お初にお目にかかります。私は
アルトが鳴くと、南王・
私は次いで。
私は目を背けて、紅茶のカップに口をつけた。
「お連れの方は、魔力の量が常人域でないですね。もしや、大魔法使いマリン殿の一族の方でしょうか?」
「いいえ、マリン様とは違います。私はマリィ=レヴィです」
「それは、申し訳ないことをしました。ごめんなさいね」
エレンさんにも、マリンの生まれ変わりだと言われた。
魔法が使えない私が、マリンのわけないじゃない。少しの怒りを隠すため、硬い口調になった。
「兄貴、マリィは怒ると、口を聞いてくれないからなー」
「それを早く言ってくれ。しかし、彼女の服装が魔法衣なのに、マリン殿の名前を出すのはダメなのかい」
「マリィは、魔法が使えないんだって。そんなんで、大魔法使いマリンと比べられるのは、嫌でしょ」
「うーん、確かに。最近、よく耳にする魔力障害か。内在の魔力過剰による、魔法出力が不全になるという」
改めて
「マリィ殿、高濃度の魔力が体外へだだ漏れになっています。このままでは、自身の魂が死滅するか、もしくは暗部の魔法使いに見つかり厄介なことになりましょう」
「そんなに深刻な問題なんでしょうか」
「かなり……厄介な問題かと思います。魔力計測器で計ってみましょう。出来れば、最高の魔法使いオライント殿にも謁見したいところです」
「えーと、私、どこへ行くんですか」
「まずは我が領地の南竜へともに参りましょう。うちの妹の成人の儀がてら、マリィ殿の魔力計測をしてみましょう」
「ええ、お願いします」
目に見えない私の魔力を竜人の2人は感じているようだ。
他人に痛みを与えるのであれば、薬師を目指したあの頃と同じく、魔法は使いたくない。
しかし、魔力が漏れるほど、であるなら、敵に察知されるのも早い。
ブラウンが盾になって、私は助かった。
やっぱり、心のどこかに棘が刺さっている。
私たちは馬車で海竜から南竜の街へ向かった。
南王の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます