第7章 竜の住処
第39話 フランシス領コーチム~竜国(海竜・南竜) 竜の住処<1>
私の名前は、マリィ=フランソワーズ=レヴィ。
フランシス王国の出身。一応、国家薬師。
数えで16歳女性、種族は人間だ。
金髪くせ毛、碧い眼が眠たげ、何故か未だに魔法使いの帽子と
アルビオン・フランシスの第二次百年戦争の爪痕は、極東の地の支配者に影響していた。
竜国は、アルビオンとフランシス、どちらかに恭順しろ、と圧力をかけられた。
コーチムや
竜国としても、莫大な資金を植民地の宗主国として投じることが年々難しくなっていた。
湿地で開発が進まないコーチムをフランシスへ、マフィアの巣窟となっていた海竜をアルビオンへ、それぞれ100年間の貸与期限付きで割譲した。
さらに竜国は独立承認をして、三韓府と東将府はそれぞれ完全に切り離され、
残る本国領地を竜国は、北部と南部、そして中央に、3人の竜王を置いて、それぞれを支配した。
竜帝は隠居して、ほとんど政治干渉しなくなった。
巨大な国の支配が分割されたことで、資金巡りがよくなり、あれ程あった借金も少なくなってきたはずだったが――
私は政治を知らないけど、上手くいきそうな統治方法ほど、失敗に向かうようだ。
「アントリアの逆の逆だな。巨大な帝国の領土から、アルビオン・フランシスにちぎって土地を売り、2つの国の独立を承認し、そして残った国を鼎のように3つに分割統治した。とはいえ、いつまでも小規模統治が通用するわけでもなさそうだ」
「どうして? 意外と上手い統治だと思うけど?」
「三国統治でさえ、それぞれの国で貿易が上手くいったり、いかなかったり、だ。財源に貧富の差が出てきている。そうすると、三国統合を安易に目的とする活動家が出始める」
「うーん、
そういうことだな、と
コーチム・エヌテに船が着く。接岸して、碇を下ろした。
パンサさんに近づく、スカーフで頭を覆った女性がいた。ここまで接近していたことに誰も気づいていなかった。
彼女のように隠密行動するのは、探偵か、怪盗か、暗殺者か、そのどれかだろう。
手元が怪しい動きをしていなかったので、悪い奴じゃないと思う。
パンサさんは冷静に会話を始めた。
「パンサ=バロン閣下ですね」
「閣下って、大げさな。まぁ、元々海軍の将校あがりの商人だけどさ」
「オットー・ターク帝国のイーブルで、青年クーデターが起こり、マリク王が玉座から降ろされました」
「おい、それ本当か。竜国の南王との取引が締結するまで、待っていたら、うちの王と国が死んでしまいそうだ」
「帰航されますか? ここで様子を見ますか?」
「あーもー、帰るしかないでしょう。マリィ、アルト、
タークの青年クーデター。歴史に残りそうな大事件が起きていた。
私たちは、船旅で情報が少ないので、かなりのんびりしてしまった。
パンサさんの旅が終わった今、私たちの旅はどうなるんだろう。
目的の整理しよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます