第37話 東エンドラ 火と水のせめぎ合い<3>
無言。
怒っているわけでない、とは思う。
先に私が話すと、
ただ、それだけ。
分かっていても私は、申し訳なくて、謝るしかなかった。
「ごめんなさい。話しているうちに、ヒートアップしてしまったわ」
「その問題は済んだ。火と水の同盟、それぞれの代表に会ってきた」
「私の誘拐で、そこまでやってくれたの。ありがとう。でも、問題は解決済みなのね」
「あぁ、誘拐の件は奴ら気にしてなかったぞ」
ここで、カディさんが
今、彼女はマジャからコルタに戻ってきた。
かつて逃げた手前、火と水の同盟に話しかけるのは大変苦痛だったはずだ。
「この地から逃げた
「カディ……、マリィが世話になった」
「礼には及ばんよ。だが、火の連中、水の連中、とはどう話をつけてきた?」
「先ほど言った通りだ、マリィという女は知らん、と。別の問題があるから、それは踊りで決着をつける、とか意味不明なことを言っていたぞ」
確かに、
私もよく分かっていなかった。
カディさんは
仏像のように東洋人の表情は繊細で読めない。
「
「「え?」」
カディさんは、口を開いた。
「商船から茶葉を捨てた、捨ててない、の争いを今日、ダンスバトルで決めるそうだ」
「なぜ、そうなった……。駐在のアルビオン人は何か文句を言わないんですか」
「いいや、アルビオン本国から連絡を待っていたら、いつまでも裁可できないからね。100年戦争の余波で、アルビオン駐在兵もエンドラ人の要求をかなり聞き入れるようになったんだ」
「どう決着になるんですか」
「見れば分かる」
しっくりこない。
現場で
私たちは、赤、もしくは青のターバンを頭に巻いた人たちについて行った。
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