第20話 レオニア王国同盟バルテナ・下 全世界言語理解能力<4>
「自分じゃない何者かに侵されている! 私は『
脳に人格の障害を受け、私は錯乱状態になりかけて、思わず叫んでしまった。
奇妙な現象が続いたせいで、私の仲間たちまで大混乱したようだった。
ガラハドさんが驚いて手を離し、抱えていたアルトを地面に落としてしまった。
唸りながら起きたアルトは混乱したようで、周囲を見渡していた。
突然、サージェが泣き出した。両腕で頭を抱え、膝立ちで、私は呻いていた。
不機嫌なアルトの頭を撫でてやりながら、サージェへの返事をガラハドさんがした。
「すまない。あんな状態は遺伝しないと……思っていた……。たぶん、親からもらった魔力の
「それって、呪いの類? マリィには知る権利はあると、私も思うわ」
「マリィ、君のお父さんは、闇の仕事をしていた。だから元々、そういう光と闇の人格があったのかもしれない……」
「いったい、オーリン村の火災事件で何があったの?」
少し間が開いた。サージェはまず泣き止むことを選んだためだ。鼻をすする音がした。
へたれ込んだ私の背中をさすりながら、泣き止んだサージェにガラハドさんが答えた。
「私は、君のお母さんへお見舞いでオーリン村を訪ねていた。何があったか分からないが、君のお母さんはベッドからずり落ちて血に染まった状態で息絶えていた。そこで騒ぎが聞こえて、外に出た。火災事件の最中、あの時の私は幼い君を見つけて逃がした。そこで、村人を殺害して歩いていたのは、間違いなく君のお父さんだった」
「お母様をお父様が刺殺して、暴走していたとでも?」
「あぁ、そうだよ。頭の内部が暴走して、対象者が魔法行動を起こし、現実世界へ害をもたらす状態。手の付けられない状態になった魔法使いが自決、もしくは魔女狩りで粛清された。だから、今の世界には魔法使いがほとんどいない」
「それが悪い結果のカルマってこと? でも、マリィには知性で魂をコントロールできる可能性があるんじゃないかしら」
「今、人格障害と
過去。
魔法が弾圧された時代は、クロスト教など、宗教の全盛期だ。
魔力が高い人間は、他人に害を及ぼす、出力で苦しむ。それに、魔力に頼りがちになり、身体も弱くなり社交性も低い。
つまり、彼ら、彼女ら、を大量に死刑にしても、人間の世界は廻っていた。
そんな中世の終わりころに、世界は魔女狩りで人格障害を持つ魔法使いを大量に粛清した。
私の父の暴走から想像するに、私は人格障害を引き継ぐ生き残りなのかもしれない。
実兄の奇行を思い出して、サージェは恐怖のあまりに泣いてしまったらしかった。
今回の話は、今まで他人から聞いた私の家族の話で一番、身体がだるくなり、胸が苦しくなった。
「マリィ、私は、君の父親をなんとか抑えようとして戦いになり、残念なことに彼を殺してしまった。今、思い出して、臆病にも泣き出した親の仇を許せるか?」
「明日まで待ってください。今は自分の気持ちが分裂していて、上手く答えられません」
夜が深まり暗くなったので、宿屋に戻ることにした。話は打ち切られた。
「話の続きは、明日の方が良いかもね。混み入った話は、もう終ったから」とガラハドさんが言う。
彼女らは、明日、ここから少し離れた場所にある古い教会を訪れるという、それに 私も同行することにした。
きゅーと小さく鳴くアルトは、いつの間にか、ガラハドさんの腕の中に納まっていた。
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