最終話:まじで?できちゃった?

俺とイヴと中西とバレンタインの四人で銀河系の星雲を巡りながらの旅行。


動いてるのか動いてないのかよく分からない超光速シャトル。

わずかに動く星々で前に進んでることが分かる。


夜になるとイヴがセーラー服を着て僕の前に現れた。

セーラー服は最強だな・・・しかもスカート短すぎ。


まあ意図は分かってるんだけど・・・。


「無理にそんな格好しなくてもイヴは充分、魅力的だよ」

                                      「リトル嫌いか?」


「コスプレは嫌いじゃないけど・・・」


「せっかく買ったんだわ」


「うそ言え・・モデル撮影で使ったセーラー服貰って帰って来たんだろ?」


「よく知ってるね」

「どっちでもいいだわ」


「それで俺を誘惑するつもりなんだろ?」


「リトル旅行に出てから相手してくれない・・・」


「有休取ったとは言え仕事しとかなきゃ、溜まっちゃうと嫌だからなよ」


「それ言い訳ね」


「ほれほれリトル」


「げげっ・・・スカートめくるな、卑怯だぞ」

「僕がパンツフェチだっての知ってて・・・」


イヴはスカートをめくったままトゥワークダンスを踊り始めた。

腰をぷりぷり振りながら上下に体を揺すりグルッと一周回った、と思ったら

パンツを脱ぎ始めた。


「わ、脱ぐな」


俺が止めるのも聞かずイヴはこれ見よがしにパンツを脱いだ。


「パンツ手に持ってブラブラするな・・・」


「おやつ、おやつ〜・・・リトル〜」


「広げるなって・・・」


「ねえ、これあげるから」


「いいよ、改めてもらわなくったって洋服ダンスの引き出しあけたらパンツなんて

選り取りみどりだろ」


「あのね、実はお知らせがあるの、とっても大事なお話」


「なんだよお知らせって?」


「リトル私と結婚するか?」


「ん〜そりゃま将来はな」


「でもパパとママにはリトルと結婚するからって言っちゃった」


「え?うそ〜」


「そりゃ、俺だって、いつかはって思ってるけど・・・」

「まだ早いだろ・・・」

「僕たち付き合いはじめてまだ半年ほどしか経ってないんだぞ」


「だって、できちゃったんだもん」


「できちゃった?・・・なにが?」


「赤ちゃん」


「う、うそ・・・まじで?」

「妊娠したって?・・・ちゃんと避妊してただろ?」


「だって、できちゃったんだもん」


「いやいや・・・それにしてもな・・・そうか・・・できちゃったか?」

「ん〜・・・まあできちゃったんならそりゃ目出度いわな」

「旅に出たばかりなのに妊娠って・・・」

「途中で降りてマンションに帰るか?」


「ダメダメ、せっかく銀河を巡る旅に出たんだから・・・いい記念なるよ」


まさかな、イヴが妊娠するなんてなぁ・・・そんなキャラじゃないんだけどな。

結婚なんてまだ早いけどちゃんと責任とってやんないと・・・。


でもさ、ちゃんと避妊したんだけどな。


「リトルなにボーッとしてるか?」


「イヴ・・・どうせならさ、この船の中で結婚式あげないか?」


「本当にか?・・・嬉しいリトル」


待てよ、生まれる子は人間とサイレント人とのハーフってか?どんなだ?

やっぱり猫耳生えてんのかな・・・尻尾も生えてたりして?・・・

生まれてみないと想像もつかないや。


でも、いい夫とパパにならなきゃな。


つうことで、この件を船長に話したら大いに賛同してくれて、お祝いにと

船長の行為でもって少しだけ超光速シャトルで星雲を巡ってくれることに

なった。


乗客のみんなも結婚式を祝ってくれることになった。


まずはイータカリーナ星雲(NGC 3372)の「ミスティック・マウンテン」を

背景にして、わし星雲(M16、NGC6611)の「創造の柱」とバブル星雲(NGC 7635)を背景にして、タランチュラ星雲(カジキ座30)にバタフライ星雲(NGC 6302に、一角獣座の特異変光星V838を背景にして触角銀河(NGC 4038 NGC 4039)を背景に・・・、

一生を終えた星が大爆発して輝く超新星の残骸、かに星雲(M1)を背景にして

あと惑星状星雲NGC 5189と次々背景にして・・・。


この世のものとは思えない素敵な演出で俺たちの式を盛り上げてくれた。


そんなこと誰も経験できない・・・誰も見ることのできない夢みたいな素敵な

結婚式になった。

中西もバレンタインも自分たちのことのように祝って喜んでくれた。


まあ、俺としてはもう少し独身生活を味わってからでよかったんだけどな。

この旅行から帰ったらイヴの両親に挨拶に行かなきゃな。


たぶん銀河の果てに着く頃には、俺とイヴは可愛い赤ちゃんを抱っこしてること

だろうな?


さて、その子耳が生えてるのかどうなのか、そこはひとつの楽しみでもあるかな。


おっしまい。



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