第4話:同僚のショーへイ中西君。

イヴは首から鈴みたいなものをぶら下げてる。

まるで飼い猫みたいに・・・。


その鈴みたいなものって鈴に見えるだけで鈴じゃない。

その鈴の形をしたものは実はUFOになるんだ。

クリスマスが地球に来る時デカくなった鈴型のUFOに乗ってやってきた。


大きくも小さくもなって遠くの星にいる両親や兄弟ともその鈴みたいなもので

通信してるみたいだ。


便利な鈴みたいなもの、普段はコロンコロン鳴るただの鈴みたいなものなんだ

けどね。

で、ほぼ毎日、母親から連絡がやってくる。

エッチしてる最中によくかかってくるんだ、これが・・・。


で、付き合いはじめたころ俺のことを母親に話したみたい。

母親は心配したらしいけどね。

悪い地球人に騙されてるんじゃないかって。


ひと聞きの悪い・・・真面目な性年を捕まえてさ。

母親には優しい彼氏と幸せにやってるからって言ってくれてるみたいだけど。


うん、まあつつがなくやってるよ。

とくに喧嘩することもなく。


で、そんな中、俺は本当に久しぶりに会社の同僚のショーエヘイ中西君に

飲みに誘われた。

だから仕事が終えた後、ふたりで飲みに出かけた。


おネエちゃんのいない居酒屋さんへ。

おネエちゃんがいる店になんか行ったらイヴに後ろめたい気持ちになるからね。

そんな店に行ったなんてバレたらヤキモチ妬かれるし・・・そうなると

「なにもなかったのかと」サイレント人はやっかいだし、しつこい。


で、中西君は最近、彼女ちゃんにフラれたばっか。

俺を飲みに誘ったのは俺にその愚痴を聞いて欲しかったらしい。

彼女にフラれた悲しみを酒でまぎらわそうって魂胆。

悩みごとを酒でごまかそうなんて姑息なやつのすることだよ中西君。


で、散々、愚痴を聞かされたあげく急に思いついたみたいにイヴに会いたい

って言い出した。


まあ最近じゃ人間の彼女がエトランゼってのが珍しくもないが、最初は

見せもんじゃないんだからって断ったんだけど会わせろって、しつこくて

言うことを聞かない・・・。


しかたなく酔っ払い中西君をマンションに連れて帰った。


「お帰り・・・リトル」


イヴはそう言って俺に、お帰りのキスをしようとしてとどまった。

中西君を見たからだ。


「誰か?それ?」


「会社の同僚のショーヘイ中西君」


「あ・・・ど、どうも奥さん、お邪魔しますふふふう」


「おえ〜お酒くさ」

「奥さんって・・・誰かの家と間違ってるよ、こいつ・・・」

「イヴにどうしても会いたいって言うから連れてきたの」


「そりゃね・・・奥さん、異星人の奥さんっつうかサイレント人なんて

見たことなくて・・・珍しいっすよ・・・げぶ〜っ」


「ここでゲボするなよ・・・おまえ」


「とにかく・・・上がるから・・・部屋に・・・」


で、俺は酔っ払いをソファに座らせた。


「イヴ、奥さん違うよ・・・でもそれ悪くないね」


「奥さん聞いてくださいよ・・・あ・・・猫がいる」

「奥寺さんのお、奥さんってえ猫なんすか、ぐふっ」


「サイレント人は人間じゃないからな・・・」


「私、猫じゃないし・・・失礼だわこの人」


「酔っぱらってるから・・・わけ分かんなくなってんだよ」

「ずいぶん飲んだからな・・・」


「奥さん・・・僕、彼女にフラれたんすよ・・・もうね」

「もう、おしまいだ・・・人生終わりましたよ」

「奥寺さん、奥寺さんのお奥さん美人さんな猫ですね〜」


「猫じゃない言ってるだよ・・・おバカね、おまえ」


「すいません、奥さん、そうなんです僕バカなんです、そうなんれすぷ」

「彼女にも言われました、バカっやろうって・・・死ねって・・・」

「奥さん・・・まじで、ほ、ほんと美人さんの猫さんだわ・・・げぶっぷ」


「まだ言ってるね・・・」


「支離滅裂だな・・・このぶんだと明日になったら今夜のことも全部忘れてる

んだろうな」


「悪いけどさ、こいつ今晩一晩泊めてやってもいいかな?」


「え〜エッチは?」


「大丈夫だよ、このままソファに寝かせとけば・・・」

「俺たちは寝室に移動すればいいだろ?」

「もし万が一見られても、こいつきっとなんにも覚えてないから」

「たぶん明日の朝になったら、イヴのことも忘れてると思うよ」


「自分がどこにいるかも分かんなくて慌てるから・・・で、 挨拶される

に決まってる・・・はじめまして、奥さんって・・・」


「私の親戚にもいるだよ、アルちゅ〜おやじ」

「私のおうちでパーティーした時、酔っぱらって暴れたから私がボコボコに

してやったわ」


「こいつ、こんなダラしないから彼女にフラれたんだわ、間違いないだわ」


「俺もダラしなくしてたらイヴにフラれるのかな?」


「大丈夫だよ・・・リトルより私のほうがダラしないから・・・」

「もういい・・・こいつとっとと寝かせてエッチしよ」


つづく。


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