第3話:我慢できないだろ?

で、結局俺はイヴ・クリスマスと付き合うことになった。


彼女のくちぐせ。


「なにか?それ」


地球へ来てそれほど経ってないからか、知らないことが多すぎる。

そのたびに「なにか?それ」って聞いてくるから最初は適当にあしらって

たら優しくないって怒った。


だから、面倒臭くても、ちゃんと答えてやらないといけない。


可愛いし美人だし愛情いっぱいだし言うことないんだけどちょっと常識に

欠けてるところがある。

まあ子猫を育ててるって思えばいいだけの話だけどね。

それに本当の猫と暮らしてたってコミュニケーション取るのはなかなか

難しい。

イヴは言葉をしゃべってくれるだけでも意思の疎通は測れるからね。


で、付き合うことになった俺たちは最初は待ち合わせをしてデートを重ねた。


そのうち、行くところも一通り行って待ち合わせをすることがおっくうに

なってきた。

それはイヴも同じだったらしく、それじゃ〜どちらかのマンションで一緒に

住もうかってことになった。


で、彼女のマンションのほうが俺のマンションより高級。

イヴは俺と稼ぐ金額が違う。

彼女はコンパニオン以外にモデルもやってる。


人間から見たら彼女自体コスプレしてるみたいなもんだから。

それが意外性があっていいみたいだ。

それにモデルをするだけあって身長も俺より高い。


だから当然、俺が彼女のマンションに移ったわけ。

移ったって言ったって同じステーションの中だし少し移動しただけ。


で、とある日の仕事が休みの時。

明日までに仕上げないといけない仕事が残ってたので朝飯を食べてパソコンに

向かって仕事に取り掛かろうとしてたら・・・案の定、来た。


邪魔しに・・・。


「リトル、なにしてるか?」


「し〜ご〜と〜」


「お休みなのに?」


「あのね、どうしても明日までにやっとかなきゃいけない仕事があるの・・・

会社でできなかったからね、しかたないだろ?」


「それ、なにしてるか?」


「チラシのデザイン考えてるの」


言ってなかったけど僕は宣伝広告や販売促進等の広告用のチラシ制作会社に

勤務してるから・・・そこでデザイン全般をやってる。


「チラシ?・・・なにか?それ?」


「ん〜とね・・・お店の宣伝・・・アピールって言うのかな」

「うちはこんなにいい品物売ってますよ〜ってみんなに知らせてあげるための

リーフレットって言うかパンフレット・・・作ってるって・・・」


「パンフレットって分かる?」

「・・・分かんないよな」

「説明が難しいんだよな・・・」


「ふ〜ん・・・ねえ、せっかくのお休みなんだから、そんなのやめてイヴと

ニャンニャンしようよ?」


「いやいや・・・ダメダメ・・・やっとかなきゃ」

「急いで作ってデータ回さななきゃいけないんだから・・・」

「納期までに仕上げないと給料もらえないだろ?」


「つまんない・・・」


そう言ってイヴは僕の後ろからしがみついてきた。


「お〜っと・・・だから〜やめろって、仕事できないだろ」


「ゴロニャン」


「ゴロニャンじゃなくて・・・」

「いい子だから・・・これさえ片付いたら、いくらでも相手してあげるからさ、ね」


「いつ終わるか?それ」


「分かんない・・・」


「う〜んと、それじゃ〜私としない?約束」


「約束・・・なに?約束って」


「お休みの日はお仕事しないって・・・私とだけ遊ぶ〜」


「それは無理だなって言ったら?」


「じゃエッチさせてあげない・・・お仕事するなら・・・」


「あ〜・・・違う意味で無理だって思うけど・・・」


「お仕事と私とどっち大事?」

「リトル、私とエッチできなくていいのか?」


「じゃ〜聞くけど、僕はエッチしなくても我慢できるけど?・・・イヴは?

我慢できるのか?」


イヴは自分の唇に人差し指を当てて上目遣いに天井を見上げた。


「ほらな? 我慢できないだろ?・・・だからエッチさせてあげないなんて

言わないの、どだい無理なんだから・・・」


つづく。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る