第11話 刀匠ムラマサの鍛冶素材探し―1
・カーン、カーン、カーン
・場に響く金属を叩く音。
・ここは【付喪神学園ヤオヨロズ】の鋳造所の一角。
・刀剣を始め、金属を用いた装備などの製造はここで行われていた。
・そんな鋳造所で1人、刀剣を鍛えている者がいた。
・格好はいわゆる和風を彷彿とさせながらも洋風的な要素も混ぜ込んだ
いわゆる武者とも騎士とも云える意匠だろう。
・刀匠の名は【ムラマサ】。
・戦国時代において活躍した刀匠の名を冠し、その後、妖刀と称されるなど
様々な因果を結んだ結果、幻想の武器に等しい力を有することとなった名刀だ。
・そんな謂れを有するムラマサは黙々と淡々と刀剣を打ち込んでいた。
ムラマサ:
「―――――ふむ」
・一通りの工程を上げて鍛えた刀をいちべつし、出来上がった剣を見る。
・刀身は出来上がったばかりか汚れ一つ無き光沢を放っていた。
・刀身に宿る刃文は綺麗な波を描いており、一見すれば芸術品とも差し支えない出来栄えだ。
・しかし、ムラマサの表情は険しさが支配していた。
ムラマサ:
「ダメだな―――――」
・ため息混じりにそう答えると棄てる様に刀身をその場に置く様に地面へ突き刺すと鋳造所を後にするムラマサ。
・その表情には残念さを抱かせているもので明らかに不満さも有しているものだった。
ムラマサ:
「やはり、素材の質の問題だな・・・とはいえ、今手に入るものでも・・・(ブツブツ)」
・ブツクサと思考が口から洩れながらも通路を歩いているとムラマサに掛ける声があった。
??????:
「ムラマサくぅぅぅぅぅん!」
・その声の主の方へと振り向くムラマサ。
・そこにはムラマサと同じ和風を装った意匠の格好をした2人組が立っていた。
ムラマサ:
「ムラクモ会長とクサナギ副会長」
ムラクモ:
「どうした~暗い考え込んでいる様な顔しちゃって元気と幸せが逃げちゃうぞ~?」
クサナギ:
「もしかしなくても良い出来の刀が出来なかった、という所かな?」
・クサナギの指摘にムラマサは苦笑しながら
ムラマサ:
「隠し立てはできない、ですかね・・・」
・ムラマサは先ほどの刀剣の出来に付いて2人に話した。
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