第20話減点対象

結局会話がないまま昼食をむかえた。


(これは減点対象だね)

採点方法は減点法だったのね。

・・・・・・じゃなくて、そういうかもしれないって思うことをしれっと言ってくるの辞めてくれるかな?

(でも、そうかもなって思うでしょ?)

だから言ってるんだよ!

辞めとこう。これ以上やり取りしていたら表に出てしまうかもしれない。


「美味しそうですね」

「そ、そうだね」

どうしよう。やっぱり減点されてるかもって考えてしまう。


「どうしました?もしかして私何かしちゃいましたか?」

あれ?減点はされてない?

いや、心配させるという点で減点なのか?

「いや、そんなことないよ。少し考え事してただけ」


「もし良かったら何を考えていたのか教えてくれませんか」

(・・・これは、興味をもたれてますね)

ソラは何故時々実況とか解説みたいに言うのかな?

「レクスが上手くやってるかなって」

「この街に婚約者がいらっしゃるんでしたっけ」

「そうみたいだね。会ったことはないけど」



そんな話をしている内に昼食も終わり、馬車所に向かう。

そこには丁度のタイミングでレクスとアゴットさんも着き、全員が揃った。

「良かったな」

レクスがそう言ってくるが、

「そっちこそ」

今回に限ってはそれはブーメランでもあった。



馬車での旅だが、今回は日が変わる前に次の街に着いた。


「この時間に押しかけるのは辞めた方が良いだろうな」

「そうですね。夕食は宿でとりますか?」

「ああ、そうだな。お前達は好きなところで食べて良いぞ」

レクスはアゴットさんと話しながら方針を決めこちらに話し掛けてきた。

「僕護衛じゃなかったっけ?」

「その役目は道中に果たしてもらっているからな」


・・・・・・それもそうか。

って納得させられたらダメだ。

これは、僕のマイとの時間を増やしてイジろうとしているレクスの策略だ。

(断っちゃって良いの?折角のチャンスなのに)

・・・・・・その捉え方もありだな。

じゃなくて!

(断ったら嫌われてるって思われるかもよ?)

あ!確かに。

ま、まさかそこまで計算した上で・・・・・・



結局適当に目に入った店にマイと二人で入った。


(僕のせいではないよ?)

分かってるよ。

今回はソラに言われる前にレクスに逃げ道を奪われていた。

「何にします?」

「・・・・・・特に決まってないけど、マイは?」

「私はこのおすすめされているものにしようかなって」

「僕もそれにしようかな」



こうして同じメニューを選ぶとその料理の感想を言いながらそのまま食べ終わった。

(話を合わせるために同じものを食べたんだね)

そうだよ。でもちゃんと美味しかったから良いだろ?

「今回は私も払いますよ」

「良いって。こう見えて結構お金もらってるから」

(そういうのは見せびらかさない方が良いって聞くよ)

え?そうなの?

でも確かに見せびらかされてる感じで嫌かも・・・・・・

(減点かもね)

だから減点方式かどうか分からないだろ?

・・・・・・いや、評価されてるだけ良い方なのか?

また、分からなくなってしまった。



「何回もおごってもらってごめんなさい」

マイのこの言葉の通り何とかまた奢る事に成功した。

別に奢ることが必ずしも良いこととは限らないのは分かっているが、やはり自分が連れてきたという意識があるため、出来る限りお金は僕が出すようにしたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎週 日・土 20:00 予定は変更される可能性があります

「元」面倒くさがりの異世界無双 改 空里 @riku4

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ