第14話二人行動
馬車の中で滞在が延長されたイレイスに着いた。
「カイとスタールは二人でこの街を観光していて良いぞ」
あ、そういえばそうなるんだった。
何かこれ二人で旅行に来たみたいになるんじゃない?
いや、成り行きでそうなっただけだから。
「それじゃあ、夜まで解散だな。宿はとって貰っているから地図の印の場所に来てくれ。せいぜい楽しめよ」
最後は完全に僕に向けていっているのがわかった。
滞在時間を昼まで延ばされたことを根に持っているのか?
というかこれ、自爆だったような・・・・・・
滞在時間が延びるということはつまり二人でいる時間が延びるということになる。
まあ、宿で泊まった後は二人きりにならない可能性もあるし、まだ自爆と決まったわけでは・・・・・・
何かフラグが立った気がするが、それを考えている余裕は今はない。
「どう・・・する?」
夕方といえる時間だが、まだ宿に行くには早すぎる。
さらに、夕食は済ませてくるように言われているのでとりあえずすぐに宿に行くことは封じられていた。
「どこかで夕食でも食べますか?まだあまりお腹は空いてませんけど」
「だよね。まだお腹空いてないんだよね」
移動をしていることもあり、昼も少し遅れていた。
そのためまだあまりお腹が空いていないのだ。
・・・・・・そういえばここは魔法の国と呼ばれていて確か博物館的なところがあるってアゴットさんがこっそり教えてくれてたんだった。
この状況にテンパりすぎて忘れていた。
以前、魔法に結構興味を持っていたしこれなら・・・・・・確か名前は・・・
「そ、そういえばここにミュレアムっていう魔法の施設があるみたいだけど・・・・・・行く?」
「行きます」
良かった。これでなんとか夕食までの時間が稼げた。
◆
『皆さんご存じの通り魔法は人によって些細な違いがございます。それはその人によってのイメージが違うからだという認識が持たれています。我々はそこに着目し現代で魔法の発展が停滞しているのは誰かの魔法を真似して魔法を覚えるという文化が問題なのではないかと考えました。
もしこの中に指導者などがおられましたら一度生徒自身に魔法を撃たせてみてください。もしかすると天才が誕生するかもしれません』
ミュレアムに入るとそんな演説なようなものが行われていた。
若干誇張しており、極論でもある気はするが、僕の考えと結構一致している。
僕の魔法がこの世界の人のものと威力が全然違うのはやはりイメージが違うからだと思う。
他にも要因はあるかもしれないが、一番の違いはそこにあるだろう。
・・・・・・何だろう横からすごい視線を感じる。
そう思いその視線を感じる方向を向いてみるとマイがこちらに視線を向けていた。
ちょ、ちょっとそんなに見つめないで・・・・・・
「もしかして、特別なイメージを?」
だよね、やっぱりそっちだよね。
「どうだろう、他の人がどんな風にイメージしてるかわからないし」
「カイさんはどんなイメージで魔法を撃ってるんですか?」
どんなって言われてもな・・・・・・前世の記憶をもとに何て言えないし・・・・・・
「普通に火とか水とかのイメージだよ?」
しらばっくれることにした。まあ、一応嘘はついていないし。
「そうなんですね・・・・・・それなら私も同じように魔法が撃てるようになれるかもしれないですね」
え、笑顔が眩しい。
「中を見て回ろうか」
「そうですね」
そう、先程の話は入り口に入った瞬間にちょうど始まっただけでまだ中は一切覗いていない。
ちなみに入場料金は僕が支払った。
マイは自分で出そうとしていたが、そこは押しきらせて貰った。
(しつこい男は嫌われるって聞いたことない?)
それは僕の脳裏にもよぎった。
しかし、良いことには適用されないのではないかという結論にいたり押しきった。
◆
「すごかったですね」
「・・・・・・そうだね」
正直、隣に目がいって展示してあるものは頭に入ってこなかった。
「やっぱり、あの魔法の応用の・・・・・・」
どうしよう。全く話についていけない。
「マイは魔法が好きなんだね」
「あれ?カイさんは好きじゃないんですか?」
「いや、好きじゃないことはないけど」
「ごめんなさい。私、一人ではしゃいじゃって」
「謝ることじゃないよ。僕も楽しかったし」
(あ~あ、話合わせないから謝らせちゃったぁ。あ~あ)
ソラがうるさい。
「そうですか?」
「もちろん。それじゃあ、夕食を食べに行こっか」
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