第2話訓練

色々あったが転生してから1年たった。だから、今は6歳。衣服や食料などの生活に欠かせないものはソラが揃えてくれる。そして、ここがどんな場所かも分かってきた。

この外は森のようで見渡す限り町はない。

初めダンジョンみたいだと思っていたが、それは見た目だけ。何階層もあるわけではなく、恐ろしい魔獣がいるわけでもない。何部屋かあり、もう家みたいな感じだ。見た目はダンジョンだけど。

そう、恐ろしいといえばソラだ。僕がサボろうとしたりサボったのがバレたとき、倍の時間訓練させられる。ソラはドSだったのだ。

今からでも名前をドS妖精と変えてやりたい。あれ?妖精ではないんだっけ?まあ、そんなソラの監視があったため訓練をサボることなど出来ず・・・・・・

そのおかげか魔法も結構使えるようになってきた。ソラが言うには一般的な魔法を習っている学生くらいだとか。ちなみにその魔法の学校は15歳かららしい。

そこであることが気になった。

「普通は何歳から魔法使うんだろ?」

そう独り言を言っていると、

「早い子で10歳位かな」

近くにいたソラが答えた。

へ~、10歳位なのか。って僕まだ6歳だし初めて魔法使ったの5歳なんだけど………

「なんで俺………じゃなくて僕5歳から魔法使えてんの?」

「魔法は自我がしっかりしていれば使えるんだ。初めから強い魔法が使える人はいないけど。」

なるほど、僕は5歳の体だったが中身は前世の記憶を持っている。そのおかげで魔法が使えたのか。

「そうそう、今日から訓練のメニュー増やすよ。そろそろ体力を付けてほしいし。」

「ど、どんな訓練をするのですか?」

訓練の内容がどんなものなのか恐すぎて敬語になってしまった。

「簡単だよ。走るだけ。最初は30分位で徐々に長くしていこう。」

・・・・・・走るのだけは勘弁してください。

面倒くさがりにとって天敵と言ってもいいだろう。だって毎日やるとすると変わり映えないし、何より全身を使うからその後はきっと筋肉痛だ。その痛みに耐えながら生活するのはしんどい。

あっ!!そうか魔法で直したら良いのか。面倒くさいことには変わりないけど。

「魔法で直したりしたら筋肉つかないよ。だから僕が適度に直してあげるから自分で直したりしないように。したらどうなるか分かるよね?」

出たよ、ドS発言。しかも、妙に迫力がある。これは素直に聞かないとさらに訓練を増やされるやつだ。

「分かったよ・・・・・・」

「うん。いい子だね。」

俺はこの先、一生ソラに逆らえない気がしてきた。

まさかこんなSだったなんて・・・・・・人は見かけによらないとはよく言ったものだ。

人じゃないけど。

見た目は無害で優しそうなんだけど、中身はドS、鬼畜と言っても良いかも知れない。

そうしてまた今日の訓練が始まった。



「はーい、始めるよ~。位置について、よ~い、ドン!あっ!ストップ!フライングだよ」

「他に人がいないから良いだろ?」

「良くない。ちゃんと何周走れたのか計測するんだから」

それにしたってそこまで厳密にやらなくても良いだろうに。

「はい、はい」

「そこ、はいは一回だよ!」

「はい、はい・・・あっ!」

「ペナルティでプラス5分ね」

これ以上何もしないようにしよう。

そう思いスタートラインに戻りソラの合図を待つ。

もちろんここには石灰なんてないので自分で地面に線を引いた。

場所はダンジョンの外の森で開けている場所だ。ちょうど学校のグラウンド位の大きさだ。

そこをグルグル走るわけなので一周が徒競走の距離と同じと考えてもらっても良い。

「位置について、よ~い、ドン!」

今回はフライング判定をもらうことはなくスタートできた。



こう、走っていると中学の頃の部活を思い出す。

よく、学校近くの坂道を走らされたり高低差のある長距離を走らされたものだ。

そして、雨の日に体育館でやっていた物がこれと似ている。それが10分間体育館の中を走り続けるというもの。

体育館の一周はグラウンドほど長くはなかったが時間で区切られているという点においては同じと言えるだろう。まあ、時間が三倍な上にこの体で走るのになれていないことや今まで体力をつけるような訓練はしてなかったため体力は少ない。

「ちょっと、ちょっと、ペース落ちてきてるよ。」

「これ以上無理だって」

「無理じゃないよ。後ろ見てみ」

そこには巨大な岩がゴロゴロとこちらに転がってきていた。

不思議なもので人は身の危険を感じるといつも以上のパワーが出るもので初めの頃よりもスピードが出てなんとか曲がり岩の軌道から逸れる。

そこで安心し一旦止まる。

「それ、追尾式だよ?」

そういわれた頃には僕が先程曲がったコーナーを岩が曲がろうとしていた。

またしても走り出すことになる。体はもう限界に近い。

真ん中に逃げれば良いじゃないかと思うかもしれないがズル防止のためと初めに不思議な魔法をかけそこに入れなくなっている。ちなみに外にも同じ仕掛けで出られない。

つまり岩を避けるには走って逃げるしかない。



訓練が終わった。その瞬間に体全身の力が抜け大の字で寝転がった。

下が土で汚れるとかを考える余裕卯はなかった。

あの岩はやばかった。ずっと全力で走らないと避けれないという状態がずっと続くのだ。死なないように手加減してるって言ってたけど多分それは回復魔法ありきだ。前世の病院では処置出来ず死んでしまうだろう。あんな岩に引かれた人間を助けられるなんて魔法はどうかしている。なんなら死者蘇生なんのもできるんじゃないか?

バカな考えはそれくらいにしておいてあの岩に轢かれるのは多分車に跳ねられる位の痛みは伴うはずだ。そんな思いしたくない。これは大ピンチかも知れない。走る訓練でソラが魔法の加減をミスって僕死んじゃうかも。そう思い、

「お前ミスって僕を殺さないよね?」

と聞いてみた。すると、

「ミスするわけないじゃん。それともあの岩に加えて即死級の魔法を撃ってあげようか?」

「すいませんでした!!!即死級の魔法は勘弁してください!」

「そう?」

ソラのドSをまた、発動させるところだった。危ない、危ない。

もう発動してたかもしれないけど。

こうして走る訓練は毎日の訓練に組み込まれるようになった。

言わずもがな体は毎日筋肉痛でしんどかった。



あれから2年たち8歳になりました。この2年間は地獄だった。走るのに慣れてきたら腕立て伏せが追加されそれに慣れてくると腹筋やら背筋やら徐々に追加されて言った。

ちなみにどれも頑張らないと魔法に当たってしまうというものだった。

例えば腕立て伏せは横から規則よく上下の順で水の弾丸が飛んでくるものだった。

初めは所詮水だろうと思っていたのだが服をかすった時に服が破れていたためその考えを改めた。

腹筋と背筋もまあ似たようなものだった。飛んでくる魔法に差はあったが。

なぜ、訓練ごとに魔法を変えるのか聞いてみたところ見ている側も同じじゃつまらないからと言っていた。


そういう意味では肉体的にも精神的にも鍛えられた気がする。

ってこれは中学校で先生が言っていた部活をする意味じゃないか。

今までのが部活?名付けるとしたら死に際筋トレ部になるだろうか?

絶対部活じゃないわ。てか考える前からおかしいってことには気づいていた。


そんなこんなでメジャーな筋トレはほとんど取り入れられた。魔法はと言うと、どの国の軍に入っても1、2を争うレベルだとソラは言っている。8歳でそのレベルって軍が弱いのか僕が強いのか。今後強くなれるかもという期待はあるが今は訓練が憂鬱過ぎてあまり今後のことを考えてなかったりする。

そして、また新たな訓練が始まろうとしていた。

「今日からは剣術の訓練もいれていくよ」

「僕剣術したことないよ?」

そう前世でも剣道に憧れていたことはあった。しかし、習い事は面倒くさい。

よって経験がないのである。

「僕が人の姿になって教えるよ。ただ時間制限があるから教えられる時間が限られてるんだ。」

「時間制限って?」

「人型になるのは消耗が激しいんだ。調子にもよるけど一日2時間が限界だね。」

「じゃあ一日1時間にしません?」

ドSによる剣術の訓練…………恐ろし過ぎる。そう思い、いかにも気遣っているような感じで言ってみた。

「君、サボろうとしてない?」

何!?心をよまれた!?

「決してそんなことはございません!!」

こういう時は即座に否定すべきだ。じゃないと訓練が厳しくなってしまう。そんなこんなで剣術の訓練が始まった。



「まずは剣の振り方から。思ったように振ってみて」

そういわれたので振ってみる。

「お、以外と才能あるかもね。やったことはなくても見たことはあるんじゃない?」

確かに見たことがある。ほとんどが好きなアニメだったが。

「まあ、多少は」

さすがにアニメだと言うのは恥ずかしいため何処で見たのかは伏せることにした。

「じゃあ、ちょっとずつ修正していくから僕の振り方を真似してみて」

その後は教えてもらいながら剣を振るのみで終わった。

意外と剣の振り方だけだったので楽だった。これなら全然いけるぞ。


2日目、昨日の終盤にはある程度形になっていたため改めて確認したあとひたすらに振り続けた。

結果から言おう。とてもしんどかった。

素振りを何回やらされたのか覚えていない。それほど剣をふった。疲れても型を崩すと注意を受けるためずっと正しい形でやらないといけなかったのもしんどかったポイントだ。

何でも体に刻み込まれるまでやれとのことで・・・・・もう考えないようにしよう。

鬼畜め!!もうやめたい・・・・・・

「何か言った?」

ソラは本当に心を読めるのかも知れない。

その後ソラを宥めるのが何よりも大変だった。

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