第26話 魔法の力って思ったより…
魔法について、の項目を見つけた俺は早速そのページを開く。
「何々?魔法とは、大気中に存在するマナを用いて使うスキルである。
なるほど…マナか」
そしてそのマナを定着させるため杖や道具を用いるのが前提条件らしい。
何でも、俺が想像する手のひらをかざしたら格好良く魔法陣が浮かび上がり、フレイムとかウォーターなどの魔法が発動!というのは、類稀なる才能がなければ出来ないようだ。
「マナが不安定だから、道具を用いてマナを集める…綿飴みたいな感じか?」
そして道具こそ何でも良いけれど、発現する魔法は使った道具に寄るんだとか。
例えばレイティさんが使った鑑定魔法は眼鏡や虫眼鏡など、視ることを前提として作られたものでなければ使えない。
「女店主が言うには、扉にも防音魔法が掛けられてあって外の音も中の音も聞こえないらしいが…扉が内外を仕切るものだからだろう」
ただ、杖だけは例外。
ただし、他の道具でも出来ることの場合は本来のものより精度は落ちるらしく杖を持つのは冒険者くらい、と。
「加えて杖でのマナの扱いは他の勝手が違い少しでも加減を間違えれば魔法が発動しない……杖を扱える人物は貴重ってことだな」
魔法そのものは誰かに教われば使えるようになるけれど、杖を扱えるかは才能次第。
道理でこの世界に来てから殆ど魔法を見ない訳だ。オッサンって凄かったんだな、ちゃんと王様と呼ぼう。
「ん?何で此処に魔獣軍が」
今頃茶でも啜っていそうな王様に思いを馳せそうになった時、ふと視界に魔獣軍の文字が。
「……なるほどね」
そこに書かれている文章で漸く納得した。
ただ魚を奪われまくるだけで、魔獣軍や好き放題生きてる魔物が恐れられる理由が不思議だったが。
彼女たちは体内に自分でマナを持っているらしく、自在に操れるので道具を使わずに魔法を使えるらしい。
ふと、甘い匂いが辺りに漂う。
「へぇ〜しっかりファトゥたちのこと書かれてる〜」
「うわっ!ファトゥいつの間に!?」
突然耳元で声がしたので慌てて振り向くと、其処ではギシッとベッドに片膝ついてお風呂上がりのファトゥが小冊子を覗き込んでいた。
因みにバスタオル一枚ではなく宿屋に用意されていた簡易的な寝間着で、胸元も開いてはおらずきっちりボタンが閉められている。
髪が濡れっぱなしなのは、気になるところだな。
「勇者が集中しすぎなのにゃ。上がったよって声かけたのに…すっぽんぽんで」
「何だって!?!?」
「嘘だよこのすけべめ!」
「騙された!!」
「男の子だにゃ〜ウリウリ」
紫水晶の瞳を細めて肘で此方をつつくファトゥ。
そんな彼女の可愛さも、もしかして魔法のせいなのか?なんてことを考えるのだった。
「……ファトゥ。髪、乾かしてあげよう。髪が傷んだら勿体無いしな」
「え、良いの?面倒だから助かる〜お願いしますっ」
ファトゥはぴょんっと軽く飛ぶと俺の方に背中を向け、女の子座りでベッドに座った。
本当に…嘘みたいに綺麗な黒髪だなぁ。
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