第6話 ついに遭遇!魔獣軍!

「んで、あんたはどうする?付いてくるか?」

「フッ…俺には無理だ、だがあんちゃんの無事を祈ってるぜ」

「戦闘力5くらいはあるよな」

「フッ…俺には」

「あっこれ会話全部見たやつか!?お前もかい!」


某死にゲーのNPCみたいなことしやがって!此処は決してゲームの中ではないはずなのだが…まぁ良い。


「とりあえず、右の道と左の道の違いだけ教えてくれないだろうか」

「それならお安い御用だ!」


こいつ、戦いたくなかっただけでは?俺も戦いたくないけども。


「左は魔物が多く見られる森だ、魔獣軍の秘密の砦なんかもあるって噂がある。右は『クトス』って街だな、比較的穏やかな街だが近くにはダンジョンもあるしクエストはそこそこに出ているぞ」

「魔物?魔獣軍じゃなくて?」

「おぉ、あんちゃんはまだ知らなかったか。時間はあるかね?」

「勿論。急ぐ旅でもないし、ジャックと話すのは楽しいから是非聞かせてくれ」

「へっ…気前の良いあんちゃんだ。じゃあ、まずは魔物からだな」


鼻の頭を指でかいてちょっと照れたようにはにかむジャック。何か反応良いな…面白いやつだ、気に入った。


仲間にするのは最後にしてやる。


「魔物ってのは、魔獣軍が召喚魔法で呼び出したやつらのことだな。見た目は黒い体に赤い血管みたいなのが走ってるから分かりやすいぞ」

「それは…かなりヤバい奴らじゃないか?」


やっぱりオッサンが知らないだけで、結構の人がやられてるんじゃ…!?


「それがどうやら、魔獣軍の言うことをてんで聞かず思い思いに動き始めて世界に散らばったんだとよ」

「えぇ〜……」

「だから言うこと聞かせたい時は、俺たち人間から奪った魚を泣く泣く渡して聞かせるらしい。因みにお腹が空いた時、また食べ物をくれないとどっか行く」

「自由すぎるだろ…」


まぁしかし、これで魚を奪う理由が一つ判明したな。


何だかんだ有用な話をしてくれる…戦闘面以外だと有能というタイプだろう。


「んで、そういう魔物や魔獣軍の奴なんかが遺跡とか土地に住み着きねぐらにしたのが、ダンジョンってわけだ。分かりやすいだろ?」

「なるほど…じゃあもしかして、クトスに行けば安全かつ間違いなく魔獣軍に会えるわけか」

「そうなるな」

「よっし行くしかない!待ってろ魔獣軍!!」

「うおっ!?あんちゃんの死んだ魚の目が急に活きが良くなったぜ!」


失礼な。魚だって泳ぎながら脳を休める奴もいるし、そんなものだよ。


話しながら表情筋を動かすのをやめていただけさ!


「ありがとうジャック。あんたのことは暫くは忘れない!」

「覚えてろよ、と言うべきか?」

「忘れない内にまた会いに来る。またな」

「気ぃ付けてな」


友情の握手を交わしてから、俺とジャックは別れ再び単身次の目的地であるクトスを目指し歩き出した。


そして歩くこと数分。


「おっとあんた、この先のクトスへ行くのかい?だったら魚を置いていきな!この際食べ物なら何でもいいよ!」

「この世界の奴らはエンカウントの仕方それしか知らねぇのかよ!!ってお前は、まさか!」


突如バッと木陰から謎の女の子が飛び出してきた。


野生のポケットの中の友達ではないので、どうする?と迷うことはなかったが…もしかして話しかけられるたびにこれなのかと不安にはなってしまう。


が、そんなことは瑣末なことだった。何と、何と彼女の頭と腰には!


「ふっふっふ、何を隠そうこのファトゥ…魔獣軍の幹部なのだ〜!」


腰まで伸びる黒色の髪と同じ、猫の耳と尻尾が付いていたのだ!


そして…いきなり幹部かぁい!?俺、大丈夫か!?

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