第17話
『さて、ここで各々練習してもらう。』
「ええ。」
「はい。」
『おう。』
[了解。]
イズが話をまとめている時に一緒になって返答するが、ガンプは良しとしてリキはお前教わる側じゃ駄目だろ。なおイズが話す内容は今後の育成方針である。
『ソフィア、我々は地力が落ちてしまったが、支配された者には若干だが支配者側の力も付与される。なのでリキ殿の力が使えるわけだが、まずはそれの練習だ。そして支配により今までに比べ神力の総量が落ちている。その為少ない力で効率良く戦う訓練を行う。』
「わかったわ!」
『リキ殿は私の力、熱量を引き下げる力を得ているはずだ。それのコントロールを御教授しよう。』
『おう、よろしく頼む。』
「おお、お前随分素直だな。」
『俺が死ねば連鎖的に支配下の神片も使い手も死ぬ。だから強くなるのは支配者の義務だ。』
「え!そうなのか?」
『ああ。それと、今まで我一人で戦ってそのまますぐ死んでいたが、この一勝はお前らと協力する事で出来た道だ。我以外の力や考えを否定する事を止めたのだ。』
「お、おう。」
朝のソフィアへのフォローといい、なんか最近はコイツの傲慢な感じが減っていたが、そういう心変わりがあったのか。ちょっと関心。
『ガンプ殿は…、すまない、わからない。ただ先の戦闘でも予想外の動きが合った様なので、まずは動きに慣れる必要があると思う。』
[その意見に同意します、イズベルト様。暫定マスター、今回は装着しながらリキ様を振ってください。その時に出力のキャリブレーションを行います。またそれぞれの武装の使用もお願いします。その時に最適化を行います。]
「あ、ああ。わかったよ。」
一応、あの化け物の発生予報では後三日は来ないはずだ。それまでにいくらか強くなっておきたい。それに明日はまた別にやるべき事がある。
『それでは各々、トレーニング開始だ。』
「おう!」
先のランニングで頭にしっかり血が入ったからか、眠気も醒めてやる気も出てきた。
「お前全然駄目じゃねーか!」
『うるせえ!どうにも出来ねえんだ!なんなんだこれ!』
『はあ…。』
ソフィアがクスクスと笑う横で、リキはさっきの殊勝な態度と口調は早くもどこかへ行く中、刀身から白くヒビが入った氷をもこもこと出す。
ソフィアとイズは持ち前の技術とセンスでリキの能力、力のコントロールのコツを早急につかみ、確信を得たようで本日は終了。彼女はイズを木の幹に立てかけてその木の根に座っている。
対して俺達はイズベルトの熱量を下げる力を使う上で、まず綺麗な氷を作るという基本を教わったのだがリキのセンスが全くない。結露によって水を集めるまでは順調だったのに。
『これが出来なければ氷の技を使う事は出来ないのだが。どうしたものか…。』
『あー!いいや辞め辞め!ガンプと、俺の力の技をもっと磨くぞ!』
[了解、それではまず射撃武器から行います。エネルギー供給をお願いします。]
『おう、わかったぞ!おら!』
「あだだだ!馬鹿、力入れ過ぎだ!使い切れない神力は俺の体で熱になるだけだろうが!火傷するだろ!」
『うるせえ!お前が男だから伝達悪くて分かりにくいんだよ!』
そして騒がしい我らに対してソフィアは完全に腹を抱えて笑っていた。イズのため息は続くばかりだった。
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