近接最強の刀と射撃機能付きの鎧で遠近見れる最強になったので、敵の女性を支配下に置きます。

第15話

「うが！」

［姿勢制御異常、修正します。］

　だが吹き飛ぶほどの攻撃でもガンプを着ている今、ダメージは少ない。しかしそれと同時に。

ドガ！

「きゃ！」

『おい、まずいぞソフィアもとばされた！』

　そのリキの一言で一拍置いて意味を理解する。これ吹き飛ばされた距離次第で彼女が死ぬ！

「おいまずい…」

『任せろ！初勝利の手柄、ここで失ってたまるか！』

　するとリキはまた俺の腕を乗っ取って勝手に刀を動かした。それは刀の刃を地面に、峰に俺が乗るという状況。

『おいガンプ！解るだろ！』

［姿勢制御復旧、解りました、行きます。］

「うおっと！」

　そしてその吹き飛ばされた勢いのまま、スノーボードの様にＵターン！これは、刃付近の摩擦力と圧力の分布をコントロールして、氷を滑る様にアスファルトの上を滑っているのか！

『我の方でイズベルトの位置はおおよそ解る！大化け鼠をぶっ潰してその奥だ！行くぞ！』

「分かった！」

　そのままリキは刀の先端に衝撃剣を発生させ、スケボーのオーリーの様に小さく跳ぶと、そのまま前方宙返りをして衝撃剣を地面に叩きつけ高く跳ぶ！そしてラトルトの上に来た所でガンプがスラスター吹かしてを地面方向に加速！

『まず一体！』

「お、おう！」

　そのままの勢いで衝撃剣で頭からラトルトを押しつぶすと、光が噴き出ていくつかのラトルと共にはじけ飛んだ！

「おい、全部やってないぞ！」

［仕方ありません。それでも今の一撃で７２パーセントのラトルを破壊、恐らくラトルトにはもうなれないでしょう、お見事ですリキ様。］

『いいからあっちだ！走るぞ！』

　あの傲慢なリキがこうも他人、他片？の心配をするとは。しかし彼女らは別に弱くない、そう思っていたのだが、遠目に見えた彼女はいくらかの傷を負い、肩で息をしている。明らかに押されていた。

「んな！大丈夫か！」

　そのままラトルトの尻を走る勢いでシバキ潰して間に入り、ラトルトに向けて構える。

「おい、何かあったのか！」

『違う、我々が弱くなっただけだ。』

　絞り出すようなイズベルトの声が頭に響く。

「やっぱり、そうなの？イズ。」

『ああ、支配下に置かれると力の七割を主人に持っていかれる。その上弱い出涸らしを残すだけで戦力として程度が低い。だから隷属化は普通しないんだ、戦力の効率が悪すぎる。』

　その言葉を聞く間にラトルトは鼠の様に立ち上がる。二つに別れても立てば家より大きい様だ。その上後ろは塀であり民家がある。そのまま押しつぶされると被害が出る！

　咄嗟の迎撃として俺もソフィアも射撃攻撃をラトルに撃ちこむ。すると今度は明らかにイズの氷よりもこちらの銃の方が威力が出ていた。

「おい！さっきの威力はどうしたんだよ！」

『あの射撃は見栄を張っただけだ。まあ、隷属化前はあの威力が普通だったんだがな。』

　二人の銃撃により、俺の撃った左前足は破壊できたが、彼女の撃った右前脚は未だ健在だ。その前足がそのままソフィアを押しつぶそうとする！

「くそ！」

　俺は彼女の方へ駆け、彼女を突き飛ばしその前足を衝撃剣で弾き飛ばす。彼女は俺に押された勢いで尻もちをついた。

『とっとと始末するぞ！』

「分かった！」

　そのまま俺達は衝撃剣で高く飛び、先ほどのラトルトと同じ様に押しつぶした。光と共にラトルが飛び散る中でソフィアが心配になり駆け寄る。

「ソフィア大丈夫か！」

　そして彼女を起こす為に伸ばした手は、彼女に払われた。

「え、あ。ごめんなさい。大丈夫、一人で起きれるわ。」

　そう言って彼女はよろめきながら立ち上がり、一人力なく目に着いたラトルを処理していった。俺は何か、声をかけようとするのだが、頭の中でリキに止められる。

　そのまま二人無言でラトルを処理し、ある程度でけりをつけて俺の自宅に帰る。その間も終始無言であり、唯一発したのは別れて寝た夜の彼女がすすり泣く声だけで、俺は何を言えばいいのかずっとわからず結局この日もよく眠れなかった。