第13話
「確かこちらの国ではこう言うのよね?ただいま!」
「ただいまー。」
そう言って二人で家に帰る。なお、ソフィアがお腹が空いたという事で道中の牛丼屋に行ったのだが、店内で女性と牛丼屋は駄目なんじゃないか?と気づき頭を抱えていると、逆に彼女が牛丼をいたく気に入って追加で特盛二杯食べていた。
ソフィアはおいしかったし、この国らしい食事で良かったと帰る道中上機嫌であったが、喰い過ぎな気がする。まさか牛丼屋でこんな金使うとは思わなかったが、かっこつけて支払った俺からすればこれぐらいの金額で納まって良かったという考えも確かだ。
[お帰りなさい、暫定マスター。後六時間後にまたモンスターが発生する予報です。]
「え?」
そして帰りの一番に聞きたくない事をガンプから聞く。これからまた戦いが発生するのか。昨日今日で色々あって疲れたから休みたいが、敵は待ってくれない。
「行きたくねえな…。」
「あら、それなら今日はお休みかしら?」
「え?」
その選択肢ってあるのか?
『おい、狩りをさぼったら我等が強くならないだろうが。それに化生の種類によっちゃ人も死ぬぞ。』
ああー、クソ、結局そういう話になるんだよなあ。
「はあ、やるか。とりあえず仮眠した後行こう。場所は近場か?」
[いえ、予報は西側のショッピングモール付近の市街地です。]
『あー、たぶん力場からもそんな感じだ、間違ってねえ。』
一応この予報、精度はそれなりらしいのだが、リキのチェックによってほぼ確実に当たる。今回はここから距離がある以上仮眠もそんなに時間が取れないな。
『ふむ、ノブレスオブリージュという事か。まあ、仕えるには悪くない人間性だ。』
イズからの好感度がちょっと上がったようだが、その後ソフィアが結局床に寝る事になって好感度は元に戻った。
『おら!急ぐぞ!』
「すまん…。」
[仕方ありません、疲労により思考能力低下が予想されました。ぎりぎりですがこれが最善です]
その後結局寝坊して時間ぎりぎり、ガンプを駐車場で装着して急ぎ家を出る。彼女もあの豪華な衣装の二着目をきっちり着ていた。なんでも生まれた島の正装らしい。
ちなみに寝坊の原因はソフィアである。寝床で揉めて寝るのが遅くなったのだ。
「ソフィアもなんでごねたんだよ!」
「いやよ、あなたの布団で一人寝るなんて。一緒なら構わないけど。」
ここで彼女の変なこだわりが炸裂して、一緒なら布団で寝るけど一人で布団を使うのは嫌だと言い出し、結局会社員時代に趣味増やそうと買って使わなかった登山用エアマットと寝袋を引き出して彼女はそれで寝た。
『すまない、ソフィアはかなり頑なな女性でな。』
「これ指示関係の緩和無い方が良かったんじゃないか。まずい間に合わん!リキ!一気に飛ぶぞ!」
そう言って俺は刀を地面にたたきつけようとすると、サクッと地面を切った。
「おい!衝撃剣じゃないじゃないか!」
『阿呆か貴様!離れたらソフィアが死ぬぞ!』
「え、そうか。ああー、すまない。」
色々状況が変わった後の初陣だからか手間が多い!ならば。
「しょうがない、ソフィア抱えてそのまま飛ぶぞ!」
「嫌よ。」
「ええ…。」
なんか結構我儘なんだけどこの人。
「なんでさ。」
「女性としてはうれしいのだけど、今の私達は戦士よ。私達で何とかするわ。」
そう言うと彼女はイズベルトを一振りして、自らの足に氷の刃を作り出して滑り出す。
「急ぎましょう。」
そう言うと彼女はスケート状態で加速した。北欧の方だから心得があるのだろうか。
「おー、すげーなあれ。」
『はあ?あの程度我でもできるぞ!』
[張り合うのは後にしてください。スラスターで加速します。追いつきましょう。]
化け物が出てくるその日は出歩く人は減る。なので二人で広い国道を各々の速度で走り切り、一応発生時間に間に合った。
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