第4話
朝、目が覚める。
『おい、もう昼刻だぞ。』
[バイタルが一部不安定です、もっと早めの就寝を。暫定マスター。]
「居る…。」
子供の頃に見る夢のような一夜だったのだが、ロボと刀は消えない!帰ってすぐ、全てを無視して眠ったのだが夢であってくれなかったのだ。
『それじゃあ狩り…の前に修行が先だな。』
[我々は調査をしなければいけません。行きましょう。]
「まって、まって!」
わけわからん状況に逃げきれない事を、二十分ぐらい聞こえないふりした後に悟ったので全員が全員の説明をする事にした。結果。
・刀
名は力戦一刀、神になる戦いが二百年ごとにあるらしく、その戦いの先に神となる神片の一つとの事。また神片には一つ一つ固有の能力があり、こいつは力そのものを動かせるとか。要はベクトルとスカラー両方をコントロールできる、らしい。
「それじゃあお前名前長いからリキね。」
『はあ?』
・ロボット
識別名ガンプレート、崩壊しかけた未来から来た個人支援兵器との事。崩壊の切っ掛けの特異点が来年らしい。なお今回偵察任務だったそうで、最低限の火器しか無いとか。なんかナノメタルとかいう物で出来ているらしく、プログラムをダウンロードすれば色々な拡張が出来るらしい。
「それじゃあ名前長いからガンプね。」
[……了解。]
そんな形で初日は終了した。この現実を受け入れるか迷ったが、無職の手前やる事が無い事も相まって半日で受け入れてしまった。
「んで、どうするんだ?」
『我が目覚めた以上、あのマシラみたいなのが周辺に出るはずだ。そいつを狩って、我に喰わせろ。そうすりゃなんとかなる。』
[こちらもそのモンスターの発生や力場の調査が当面の主任務となります。リキ様と同行すればこちらも任務が遂行できそうです。]
「人の頭ん中で会議しないでくれねえかな…。」
邂逅二日目の今日、改めて話を聞く。とりあえず強くなれと言う事らしい。当然反対したのだが、無職でやる事が無い点を突かれて説得され、しかもガンプからは未来から報酬が出ると言われて頷く事以外できなくなった。
翌日から早速化け物は発生した。迎え撃つも戦闘は単純、マシラを倒したやり方と同じ様に、ガンプを囮にして俺が後ろから斬りかかるという物。
ただそれじゃあ修行にならねえという事で空いた時間に修行だ調査だ色々やらされた。何故か無生物二人に振り回される日々が始まってしまったが、久々のやらなければいけない事と、全身を動かす事による心地よい疲労により良く眠れる。俺はその日々を受け入れて行った。
だがその間にガンプは賃貸の俺の部屋にわけわからん未来家電を設置し始めたり、リキは修行と称して裏山にクレーターを作ったりと笑えない事もあった。
なおガンプの説明ではモンスターは発生すると周辺に認識阻害の力場が出来るらしく、その被害や損害はいきなり急に出た、もしくは最初からそうだった事として認識されるとか。
だが裏を返せば、普通に人が住む横で戦闘を繰り広げていたのだ。その事実に気が付いた時はめんどくさいと共に、人々を影から守るという自身の立ち位置に年甲斐も無く誇りに思ってしまった。
そしてそんな日々に慣れ始めた、そろそろ一カ月後という辺りで状況が変わる。
[今回はマシラが三体です。日が変わる前に処理しましょう。]
「分かった、それなら楽だな。」
『え、ああ。そうだな。』
「なんだリキ、随分と歯切れが悪いな。」
戦いは進んでいたのだ。この夜、既に別の神片が近くにいた事をリキは感じ取っていたようだった。
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