第32話 女神様へ中途報告
暑い8月は終わりを告げたのだけれど、
残暑はいまだ続いている。
異世界は日本の関西圏大都市ほど
暑くないというか、蒸し暑くない。
あんまり雨が降らないのだ。
梅雨もなかったし。
特に夜は涼しくて快適だ。
でも、昼間は30度を超えるので、
少し運動すればすぐに汗だくになる。
集落は順調にかつ急速に拡大しつつある。
人口的にも、産業的にも。
当初は15名の住民だった。
それが半年たった現在、
住民は50名にまで増えた。
王国では、50名以上の集落を村としている。
「住民が増えたので、この集落はめでたくも村と認定されます。ですので、ここに名前を付けたいと思います。で、内々で考えたのですが、アルシェ村としたいと思います。異論があればどうぞ」
「「「異議な~し」」」
アルシェという名前は
以前アランたちが住んでいた街の区画の名前だ。
大層ないわれがあるわけではない。
当初はアイザック村にしたいと言われ、
つまり、僕の名前を冠したいと言われ、
それは違うと説得した経緯がある。
この村においての主人公は村人たちであって、
僕は補助者にすぎない。
さて、僕がこの村に来てから半年。
成果を上げていく。
【進捗状況】
お菓子
朝方の一人一個を続けている。
油用植物
F1植物が多く日本の種に依存。
大豆は露地栽培が成功し、量産体制に移行。
じゃがいも
量産体制。
雑穀 オーツ麦
量産体制。
小麦・大麦
畑栽培に成功。
本格的に栽培に取り組む。
花畑
いろいろ咲き誇っている。
ただし、F1種が多い。
花畑を拡大中。
精油
いろいろと精油を採取してみた。成功。
サトウキビ
露地栽培成功
砂糖採取成功
栽培面積拡大中
メイプル
露地栽培成功
メープルシロップ採取成功
栽培面積拡大中
養蜂
ようやく蜂が定着し始めた。
ハウス栽培
各種果物 F1種ばかり。
ただ、素晴らしい果物を生産している。
温室ハウスを拡大中。
川魚
干物と魚肥は完全に成功。
川魚用の池を拡大中。
水牛
10頭まで増やした。
牛乳も絞れているが、絶対量が不足している。
広大な草地を準備中。
鶏
完全に卵の量産体制に入った。
村人だけでは食べ切れない。
料理
セリアママを始め、アランさんや子供たちが
立派な戦力になりつつある。
間違いなく、王国でもトップクラスの料理人。
電気柵
現在、畑と村住居スペース約150haを
電気柵で囲っている。
だいたい縦横ともに1.2km四方の面積だ。
これを一気に十倍に増やす。
つまり、4km四方の管理面積に拡大する。
農機具
こうなると、耕運機では間に合わない。
本格的なトラクター・コンバインを導入する。
それぞれ1千万円以上のものを予定している。
エンジン付きのようなものは、
次元渡りをすると魔物の親戚になって
命が吹き込まれる。
かなり大型の農機具を導入するのだが、
大丈夫なのか、心配ではある。
水路の建設
畑の拡充に合わせて、
レベロン川から水路を引っ張ることにした。
そのため、大々的に作業員を募集する。
出稼ぎ的な扱いになる。
人格的に認められて希望があれば、
後日、村人として迎え入れる。
風呂・トイレ
風呂とトイレは各家庭に設けることにした。
ただし、魔力の不足する人は公共風呂と
公共トイレを利用することとする。
上水道・冷暖房・冷蔵庫など
便利魔道具は各家庭最低1台は設置している。
料理
料理施設も希望者には各家庭に設置する。
ただ、基本的には公共食堂で食べるか、
テイクアウトしてもらう。
防衛
村は畑等を含め、電気柵で囲ってある。
住居部分は高さ5m程度の外壁と電気柵にて
囲ってある。
外壁の上は平らになっており、攻撃ができる。
ナイフ、包丁、弓、防具は一人1セット
渡してある。
10歳以上の子供も含め、全員が兵士になる。
かなり強いと思う。
武器・防具の強さもあるが、
村人個人の強さもかなりある。
比較はできないが、平均的な日本人とは
比べ物にならない。
握力は100kgを超えるものが出始めたし、
子供でも最低50kg程度はある。
1500m走だと、4分を切るものが続出。
最速のものは2分台目前だ。
爆速、地球なら世界記録か?
5分台だと、子供でも恥ずかしがって
自主練をしているぐらいだ。
計算・読み書きも日本の基本的なものは大丈夫。
計算については、算盤を取り入れた。
僕には算盤をしたことがないのだけど、
スキルが発現して、なんとかパチパチできる。
村人たちにも算盤の動画を見せて
毎日練習させている。
みんな下手すると僕よりも習熟しているのだが、
特に子どもの上達が早い。
合わせて、暗算も速くなった。
インフラ
畑拡張に合わせて、村内の道路を整備している。
最低でも幅4m道路。
これで京都のような碁盤目で区切っていった。
試しにバギーとか軽4を転移させてみた。
デミモンスターというものになるのだが、
つまり、亜魔物となり命が吹き込まれるのだが、
故障したり事故をおこしても
回復薬で治ることがわかり、非常に便利だ。
なんというか、頑丈な馬を飼っている感じだ。
軽四なんて、中古で購入した。
古びた車体に回復薬をかけたら、
新品同様になったのだ。
エネルギーはジェネレータが魔素集積機になる。
この魔素を車に補充すればいいのだ。
各家庭に一台、軽四を用意するつもりだ。
『報告内容はよくわからんのじゃが、進展しているのであるな?』
はい、女神様。
順調だと思いますよ。
『うむうむ、そのうち、視察にこっそりまいろうかの。ちゃんと甘味で歓待するのじゃぞ?』
うちの料理人は日本のパティシエ顔負けですよ。
『おお、それは良きかな。楽しみにしておるぞ』
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