第17話 日本のものを持ち込むとパワーアップ2

【フライドポテト】


 じゃあ、フライドポテトをみんなで作ってみるね。


「おお、待ってました」


 作り方は難しくない。

 じゃがいもの皮をむいてマ◯クみたいに細切り。

 くし切りとかでもいい。

 片栗粉をまぶし、油で揚げる。

 片栗粉も油も日本から持ち込んだものだけど、

 いつかはこちらで作る予定だ。

 最後は塩で味付け。


「ジャガイモと言えば、煮たものしかしりませんが、油で揚げるとこんなにおいしくなるんですね」


「さすがは高級品の油」


「油は僕が用意したけど、油用の植物をいくつか栽培したから、そのうちこの集落でも油を安く扱えるようになるよ」


 油が高価なのは、生産量が少ないこともあるけど、

 油ギルドが独占してるかららしい。

 この集落はギルドの勢力圏にないから問題ないけど。


 ちなみに、油にもヒエラルキーがあるそうだ。

 オリーブ油>バター>ラードなどの動物性脂

 >その他の植物性油

 となる。


「オリーブオイルもバターもラードも食べたことねーですね」


「高価というよりも、市場にでてこんですよ。貴族様たちが独占してまして」


 なるほど。


「その他の植物油でもたまーに使えるぐらいで。でも、この集落で油がとれるとなると、一気に食卓が豪華になりますね」


「ああ、僕の予定では色々栽培しようと思っているからさ。そのうち、貴族でも賄えないような食卓になるよ」


「ホントですか」


 集落民は現実味がないようだ。


 あと、魚粉から魚肥を作ってみたところで、

 僕は別行動。


 塩を確保したいからだ。


『マスター、岩塩の場所はわかっています』


 さすがは有能ルシール。


 岩塩は採掘場所に偏りがあるらしい。

 ちなみに、日本では岩塩は算出されない。

 こちらでも特定の地域が岩塩を独占している。

 あとは塩田。

 海水を天日干ししたり煮詰めたりして

 塩を採取する。


 その塩は、教会、王族、貴族が独占している。

 高価で、庶民は気軽に使えない。


「まさか、岩塩は金鉱より遠くないよね?」


「ああ、マスター。そのまさかです。多分、倍以上遠いですかね」


 がっくり。

 どこかで一泊しなくちゃいけないかな?


「強行すればなんとか夜中には戻れるのではないかと」


 うーん。

 おそらく距離にして500kmぐらい。

 東京~大阪間を1日で往復。

 車とかじゃないからね。

 車でもきつい距離を自分の脚で走って走破。

 しかも、岩塩発掘の作業付き。


 僕って、賢者なんだけど。

 でも、どっちかっていうと、物理系が多いよね。

 超人ハルクだと空飛べるのに。

 

 ◇


 とにかく、朝ご飯にがメガ盛り◯ンモス弁当の

 がっつ◯スタ肉丼を食べて、

 朝の4時に出発した。

 ちょっと肌寒い。


 多分、時速50kmぐらいで走っている。

 全然疲れない。


 いや、疲れる前にお菓子食べてるから。

 今回は豊富に持ってきたからね。

 

『マスター、大好きなお菓子食べてすぐに走って消費してパワーアップ。いい流れですね』


 ルシールのイチオシは、ブ◯ックサンダー。

 あの美味しさイナズマ級のお菓子である。

 確かにスタミナ系が必要な時には役立ちそうだ。


 時々、魔獣とか魔物とかなんだかわからないけど、

 獣が出てくる。

 でも、簡単にスルーするか、ナイフで瞬殺。

 ルシールもいるし。


 真っ暗のはずだけど、暗視もできるようになった。

 視力も 2.0どころじゃない。

 まるでアフリカの人みたいに遠くまで見える。

 次元渡りのお陰であらゆる身体能力が

 バク上がりしている。



『えっと、マスター、そろそろですかね』


 朝日が昇り、お日様が頭上を越えたあたりで

ようやくルシールが現地到着を宣言する。


 この当たりが岩塩だというけど、

 見渡せばすぐにわかる。

 地面がちょっとピンクがかった白っぽい。


 さすがに汗びっしょりだ。

 今は5月上旬程度の陽気で、

 朝方は多少冷えても

 昼頃は運動していると流石に暑くなる。


『マスター、温水魔法とか温・冷風魔法を発現してみたらどうですか』


 なるほど。

 汗かいても、シャワーできるな。

 服は洗濯して、猛烈乾燥。

 数分でカラカラになった。

 冷風魔法で汗をひかせてから

 服を着ると、流石に気持ちがいい。


『ああ、マスター。冷風魔法、もうちょっと』


 なんだよ、暑いのか。


『ええ。私も冷風魔法使えるんですが、流石にこの姿だとちょろっとしか風がふきませんもので……』


 ということで、ルシールのために

 冷風魔法を延長した。



 では、作業の前に、昼食だ。

 今回は、ちょっと奮発して、

 僕は極上牛タン重。

 ルシールはやわらか極上牛ハラミ重。


 完食後、ちょっとだけ休憩して、採掘へ。


『マスター、どうでしょうか。なかなか含みのあるまろやかな塩味ではないですか?』


 採掘した塩をなめてみる。

 ピンクっぽい白色をした塩だ。

 家庭用の真っ白な塩のような尖ったところがない。

 いろいろミネラルが豊富なんだろう。


 金鉱を掘る要領で岩塩をどんどん掘っていく。

 金鉱と違うのは、まるっと岩塩で、

 ほぼそのまま塩として使えることだ。

 流石に表面には泥や汚れが付着しているが。


 岩塩は細かく砕き、最終的に不純物というか、

 ゴミとか金属とかの異物を取り除く。

 これも、魔法でなんとかなった。

 金鉱から金を採取するのと同じような塩梅だ。



 1時間ほど作業をして、数トンの岩塩をゲット。

 そのままとんぼ返りだ!


 結局、戻ってきたのは次の日の午前3時だった。

 流石に爆睡したよ。

 あ、寝るのはテント。寝袋の中。

 これがまた快適。


 まず、テント。

 自然と結界がはられ、敵をシャットアウト。

 テントの中は一定の湿度・温度が保たれ、

 寝袋はフカフカ。

 もうね、キャンパーを確実に駄目にする装備だ。


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