第15話 異世界集落に戻ってきた2

「次はですね、PH《ぺーはー》が5に見合った作物を植える、そのために僕はこれを持ってきました」


 じゃがいも。

 もちろん、品種改良された優秀なじゃがいもだ。


「芋ですか?ああ、これも助かります。いつもスープに入れてます」


 王国では芋は積極的に食されないらしい。

 どうやら、小麦>ライ麦>オーツ麦>芋類

 という階級分けがなされているようだ。

 つまり、芋類は最下層のクラスというわけで、

 貧民の食べ物とみなされている。


「このじゃがいもですが、スープにいれるばかりが食べ方ではありませんよ。これ食べてみてください」


「え?では、いただきます……おおお、表面カリカリで中がホクホク、塩味ですか、随分と甘さを感じますね!」


 マ◯クのフライドポテトを持ってきた。

 できたてでマジックバッグに入れてきたので、

 しなびていない。

 それに、ジャガイモは品種改良されたもの。

 この世界の芋に比べれば、遥かに美味しいはずだ。


「じゃがいもを油であげたものです」


「え、油で揚げる?そんな高級品を」


 王国では油は希少品とまでは言わないが、

 値段の高いもので気軽に使えないようだ。


「ですので、油のもととなる植物の種も大量に持ってきました」


 大豆、とうもろこし、ひまわり、菜種、ごま。


「この土地に合うかどうかはわかりませんが、栽培してみましょう。いずれもPHは6前後でいけると思います」


「ただですね、この土地は痩せておってですね……」


「大丈夫です。肥料を持ってきました。それと、川魚から肥料を作ってみましょう」


「「「おおお!川魚にそんな活用方法があるとは!」」」


「農機具もいくつかあります。はいこれ」


 スコップ、ツルハシ、クワといった農機具。


「これ、金属製ですか。なんという高級品」


 一般的には木造の農機具が主流であった。

 鉄はまず武具に使われ、値段が高い。


「では皆さん、始めましょう!」


「「「おおお!」」」


 本日は集落民も歓声をあげてばかりであった。


 ◇


 さて、喜び勇んで農作業に没頭し始めたのを横目に、僕がしたことは耕運機のチェックだ。


 耕運機は明らかにオーバーテクノロジーだ。

 一応、電動で太陽光発電機もある。

 でも、これらが次元渡りしたらどうなるのか。


「ハジメマシテ、ゴシュジンサマ」


 耕運機を取り出したら、いきなり話し始めた。

 口調は随分とカクカクしている。


「えと……はじめまして?」


「ゴシュジンサマ、ジコショウカイ ヲ。ワタシ ハ キカイケイ・デミモンスター デス。コウウンキ・セイゾウバンゴウ ハ ◯◯ デス」

 

 キカイケイ・デミモンスター?

 よく見ると、目とか口がついているぞ。

 これが次元渡りした効果なのか?


「君は生き物なの?それとも機械?」


「ソウデスネー、キカイ ノ トクチョウ ヲ モツ セイブツ デショウカネー」


 デミモンスターって言ってるけど、

 あれだな。

 獣人とかを亜人と呼んだりする。

 亜人は英語ではサブヒューマンとか

 デミヒューマンとか呼んだりするはず。

 ゲーム知識なんだけど。

 だから、デミモンスターって亜モンスターかな?


 耕うん、畝立て、除草、整地で口頭で指示すれば、

 アタッチメント自動交換、作業も自分で考えて

 自動で行ってくれるという。

 

「えと、エネルギーはどうすれば?」


「マソ デ ウゴキマス」

 

 マソ?

 ひょっとして、魔素のこと?


「マソシュウセキキ ガ アリマスノデ、エネルギー ヲ ホジュウシテ クダサイ」


「マソシュウセキキ?魔素集積機?」


 見渡してみると、太陽光発電気が

 魔素集積機になっているようだ。


 こうなると、魔道具の一種とも考えられる。


「ゴシュジンサマ、ナマエガホシイデス(御主人様、名前が欲しいです)」


「え?名前?」


 自分から名前を欲しがる耕運機。

 そう考えると随分と変だ。


「……じゃあ、コウキ?」


 我ながら安直だけど、すぐには思いつかない。

 というか、耕運機につける名前って。


「オオオ!アリガトウゴザイマス、ゴシュジンサマ!(おおお!ありがとうございます、御主人様!)」

 

 ◇


「「「うおおお!」」」


 今日、最大の雄叫びはこの耕運機を見たとき。

 なにせ、地面を自動的に耕してくれるからだ。

 しかも、人力では考えられない高速度で。


「え、口で指示すればいいのですか?」


「そうみたい。手動でもできるみたいだから、どっちを使ってもいいですよ。あ、エネルギーはここからね」


 これはすごいや。

 これなら、いずれトラクターとか大型の農機具を

 転移させてもいいかも。

 いくらなのかはわからないけど、

 今の僕には金鉱があるからね。


 ちなみに、トラクターの役割は、

 田んぼや畑を耕したりすること。

 コンバインは

 収穫(刈取・脱穀・選別)を役割としている。


 後日ネットで調べたら、トラクターの場合、

 安くても百万円台。

 高いのになると1千万円を軽く越えてくる。

 レクサスじゃん。


 コンバインも同様かもっと高額だった。


 上記の価格はある日本メーカーの話。

 これがトラクターでも有名なというか

 元来トラクターメーカーだったランボルギーニ。

 高いと3千万円を超えるという。


 カーキチ司会者が農業に挑戦する番組がある。

 これが凄く面白いのだけれど、

 彼はいきなりランボルギーニを買い込んだ。

 このトラクター、とってもカッコいい。

 

 価格のことだけで言えば、

 ドイツのメーカーのトラクターで

 5千万円越えのがある。

 アメリカのメーカーだとひょっとしたら

 それ以上の価格のトラクターがある。

 

 コンバインになるともっと凄いみたいだ。

 よくわからないんだけど、中古で1億円超えとか。


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