第4話 モールへ2
マジックバッグがあるのなら、遠慮なく購入するか。
ちょっと散財しちゃうけど、僕って基本的に
お金を使わない。
家は自分のものだし、車はない。
食事は自炊。
趣味はゲームだけど、へビーユーザーじゃない。
たまにゲームを買ったり課金する程度。
ロードバイクはちょっといいのを買ったけど、
それにしても初期にいろいろ取り揃えた以外は
費用ってあんまりかからない。
ホイール変えたいとかそういうタイプじゃないし。
パンクとかも自分でなおすし、部品代ぐらい。
だから、貯金があるし、
そもそも、親の遺産がある。
切り詰めれば数十年は暮らせそうな。
まあ、その前に再就職するつもりだったんだけど。
前に就職した会社がブラックというか、
直接の上司がブラック体質のやつで
パワハラ・セクハラ・モラハラ当たり前の
嫌な男だったんだ。
だから、僕はちょっと気持ちをやられてしまって
退職して休んでいたんだよね。
じゃあ、女神様
お菓子買う前にもう少しぶらぶらしますからね。
『うむうむ、もーるとやらはとってもキレイで楽しいのじゃ』
で、僕が買い込んだのは
薬の救急セット
携帯衛生セット(石鹸とか)
殺虫剤
充電器
『それらグッズはの、異世界へ行くとパワーアップするからの』
そういや、さっきもそう言ってましたね。
『うむ。どれぐらいアップするかは、今後のお楽しみというか、お主の能力次第じゃの』
僕の能力?
『そうじゃ。次元渡りするのがお主のスキルになるのじゃが、スキルパワーによって随分と違ってくるのじゃ』
ああ、それは楽しみだ。
『での、そろそろ、お菓子を見に行こうではないか。お主の用事ばかりで飽きてきたのじゃ』
そうですか。
じゃあ、地下食品街へ。
◇
『おおおお、なんじゃここは!』
地下食品街へ降りてみると、女神様大興奮だ。
気持ちはわかる。
でもね、女神様。
手当たり次第にカゴに放り込んでいくんだけど。
『甘味だけじゃないのじゃ!こう、いちいち購買意欲を掻き立てられるのじゃ!手が止まらんのじゃ!』
日本の食品ってパッケージからして競争力あるからなあ。
外国のスーパー行くといつも思うよ。
それに、このモールのスーパー、展示が清潔で
ゴージャスな感じがするんだよね。
結局、カート山盛り3杯分買ったよ。
後ろの人、ごめんね、レジに時間がかかって。
僕の財布どんどん薄くなっていくんだけど、
女神様、大喜びしてるからまあいいか。
あと、何故か服を買わされた。
それも、結構な数。
何しろ、全服屋に寄ったし、
なかなか決まらないし。
フードも取ってしまうもんだから、
お店の人も大興奮というか、
ほぼ下僕状態で、ファッションショーになるし。
物凄く時間がかかった。
確か、10時頃にモールにきたはず。
それが昼ご飯を食べて女神様に大変喜ばれ、
3時のおやつにカフェに入って喜ばれ、
へとへとになったと思ったら夕方だった。
もちろん、食品以上に結構な散財だ。
ちょっと涙目かもしれない(泣)
◇
女神様、あちらの世界って魔獣とかいますか?
『勿論、おるのじゃ。魔獣、魔物、うろうろしておる』
僕、一人で草原に取り残されるんでしょ?
危なすぎるじゃないですか。
『問題ないのじゃ。妾の眷属を護衛につけるからの』
あー、でもちょっとは僕も準備したいから、
出発はもう少し待ってください。
モールでは揃えられないもの、
それをネット注文したい。
『そうか?妾はすぐに行きたいのじゃが』
お菓子だって、まだ欲しいものがあったでしょ?
数日後にまた買いに行けばいいではないですか。
『うむ!それもそうじゃの。じゃあ3日ほど待ってみるかの』
ネットで注文するつもりなのは主に防犯グッズ。
クマスプレー、防犯ブザー、フラッシュライト、
アーミー用迷彩服、防弾・防刃ベスト、
保護メガネ、安全靴、長めの包丁、ごついナイフ。
◇
『ほう。このフロアはフェスティバル会場かの?』
モールの屋上に行くとコスプレ会場だった。
屋内でもぞろぞろとコスプレーヤーが歩いていたけど、女神様、注目の的なんだよね。
服屋さんでも店員さんが大興奮してたけどさ。
フードで顔を隠しても、オーラを隠しきれない。
女神様、オーラを引っ込められんですか。
『できるがの、そうなるとオーラが消えてしまうではないか』
当たり前でしょ。
『そうなると、注目されんではないか』
は?
女神様、今まで散々称賛を受けてきたでしょ?
『いやいや、天界は神々しか住んでおらん。妾たちが称賛しあったりするわけなかろう?ジジイも多いしの』
あー。
『じゃからの、こうしてキラキラした目で見られると気持ちいいのじゃ』
はあ、わかりました。
じゃあ、適度にオーラを出しててください。
決して!ビンビンにオーラを出さないように。
みんな、死んじゃいますから。
悶死しますから!
『そうか?つまらんのう。適度っていうのが一番難しいのじゃが』
女神様が歩くと、自然と人垣が割れていく。
そして、みんな大注目だ。
スマホを出して撮影している人も多い。
そのうち、
「ああ、あの、カメラ、いいですか?」
ガチなカメラ持った人が。
「あああ、私も」「僕も」
ずらりとカメラマンがそのあとに並ぶ。
女神様が嬉しそうにポーズ注文に答えている。
ところが、一人エロカメラマンがいて、
アングルを低くして近づいてきた。
その瞬間、そのカメラマンはふっとばされ、
壁に体を打ち付けて気絶してしまった。
「「「きゃあああ」」」
うわ、女神様。
「うむ?結界魔道具を使っておるからの。触れたのじゃろ。なんらかの悪意を持って妾に近づくとああなるのじゃ。まあ、死にはせん。少し後遺症が残るかもしれんがの」
後遺症って……
『大したことはないのじゃ。歩けなくなるとか目が見えなくなるとか、その程度じゃ』
いや、それ大事なんですけど。
いわゆるバチが当たった的な?
これは大騒動になるまえに現場を離れないと。
◇
女神様、やっぱり迂闊に外出できません。
「うろ?なんでじゃ?妾はもっと楽しみたいぞ?」
条件があります。
オーラを消してください。
『つまらんではな……』
これは絶対条件です。
女神様、自分の美しさを知らなすぎます。
このままだともっと大事件になります。
『ううむ、いや、わかったのじゃ。外を歩くときは認識阻害の魔道具を使うのじゃ。完全に気配は消すことができんがの、というか、消してしまうと逆に危ないからの、適度に妾の存在を感知する、という魔道具じゃ』
ああ、そういうのがあるのなら最初から。
『外行くときはいつも使っている道具なのじゃが、たまにはこうパーッとしたいじゃろ?』
いえ、したいと思いません。
ていうか、パーッとしすぎになります。
『仕方がないの。あんまり目立つと地球の神が怒るしの。特に、天照大神は怒ると怖いのじゃ』
天照大神が地球の神様なのですか?
『地球の神はいろいろおっての。天照大神は日本担当じゃの。昔は砕けておったのじゃがの。最近は厳しいのじゃ』
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