福神の章(1)
福神信仰とは非常に面白いものでございます。
稲荷大神やえびす大神をはじめ、日本では様々な神様が福神に位置づけられております。
そもそも「福」とは、
「示(祭壇)」に
「畐(供物で満たされた器・なみなみと満たされた酒樽)」
が組み合わさった漢字となっております。
巷で現世利益を求める時代に盛んになった福神信仰ですが、その中でもえびす大神は非常に変わった性質をもっております。
日本の神様は、古来より姿形の見えない(見せてはいけない)ものとして信仰されてきました。
日本の神々が描かれる図説は海外の宗教に比べ非常に少なく、またその整合性も保たれておりません。
これは神道の原始形態である自然信仰(アニミズム)が草石木岩などの自然をはじめとする万物の「はたらき」を「神」として崇拝していたからであると考えられます。
自然物である草石木岩を神として祀っていたものとよく勘違いされやすいですが、そうではありません。こういった自然が互いに影響し合う「はたらき」に神を感じていたのです。
しかしながら、えびす信仰ではえびす大神を神像として祀ったり、御神影といわれる神様の姿を描写した御札を祀ったりします。
これは神道全体からみれば非常に稀有なことでございます。
また、「えびす」という言葉には「外からきたもの」という意味合いもございます。
海の向こうから流れ着いた漂着物や、外訪者を「えびす」と呼ぶこともありました。
以上を踏まえ、これは私見ですが神道の基本的な信仰は
【物▶はたらき▶神 】
であるのに対し、えびす信仰は
【はたらき▶物▶神】
という構図が当てはめられるのではないかと考えています。
令和6年12月6日
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