第二話 二日目

―二日目―


「では行ってきます。今日中には戻る予定です。」

 私たちは眠気がある中、村を出て山のふもとへと向かった

「ふぅあ-眠いですね。エルナ様」

 チャッピ-の声が森中に響く

「そうね。だけど今日は風も強いし少し寒いから、私はあんまり眠くないけどね」


「ところでなんですか?その手に持ってるもの」

 チャッピ-は私が手に持ってるものに指を指した。


「あ-これ?村長さんに貰ったの噂の場所の地図」

「その場所はどこなんですか?」

「この地図によるとその谷を越えた先よ」

「でもどうやってこの谷を超えるんですか?」

 チャッピ-が少し不安げな声で尋ねる


「ん-そうねえ、風に魂を宿しても人と精霊を乗せても重くて飛べないし、強い風が吹いてくれればいけるけど…」


「あ、僕聞いたことがあります谷から山頂に向かって吹く『山谷風』が吹くらしいです。この風は強いのでそれに乗ればいいんじゃないですか?」

 エルナはチャッピ-の提案にのる

「それいいね」

「山谷風は循環するので来るまで待ちましょう。」


―数分後―

「来ました!」

「それっ!」

私は杖を構えて生命を宿す'呪文’を唱える『ヴァルカナ』

「乗れた-これで越えれる」

 私は安堵する

「あっ!あそこじゃないですか?」

 チャッピ-が噂の場所に指を指す

「よし下ろして」


スタッ


「ふう-無事着地できた」

「この人たち全員生きてますね」

「そう、良かったわ。とりあえず私はこっちを見るからチャッピ-はそっちを見て分かった?」

「…」

「って寝てる?今寝ないでよ。お-いチャッピ-?」

 何回言ってもチャッピ-から返事がない

「まさか!魂を奪われたのか!?」

 焦燥感が彼女を包む


「フッフッフッ気づいたようだな」

 どこかから男の声が聞こえる

「誰だ!」

「ふたりとも魂を奪う予定だったのだがなあ。お前は眠気がなかったようだな」

 魂を奪う 眠気 …

「まさか貴様の能力は眠気のある者から魂を奪う能力か!?」


「そうだ、しかしもう一つ私は能力がある」

 魂を奪われていた人達が起き上がる

「さあ襲えっ!」

 魂を奪われていた人達が私の方に歩いてくる。襲ってくるとはいえ彼らは一般人。私が攻撃することは出来ない


「我が名はソウル・キング。」

 謎の男が姿を現した

「そういうだったのかお前が見えないと思ったら煙だった訳か!」

「気づいたな。しかしもう遅い!」

 ソウル・キングは余裕のえみを浮かべる

 あと少し、あと少し耐えれば

「ッ!見えた!」


「どうした?私を攻撃しないのか」

 ソウル・キングは私を煽る

「攻撃?そんなの要らないもう既に解決している」

「ッ!?」

 ソウル・キングは目を見開く、しかし気づいた時には実体は無くなっていた


「もう聞こえないと思うが何が起きたか説明をしてやるわ、ここら辺には山谷風が吹くの、その風に魂を宿してあなたに攻撃させたのよ。攻撃と言っても煙のあなたには効かないと思ったから直接当ててあなたを分散させたのよ」


「エルナ様-」

 チャッピ-がこっちに向かって走ってくる。他にも魂を奪われてた人達が起き上がる

「どうやら僕魂を奪われてたみたいですね」

「うん。だけどもう解決したよ」

「じゃあ帰りますか!」

「あ、その前に彼らが帰られるように馬を創って帰させてあげるわ」

「じゃあ僕は材料を集めてきますね」


―数時間後―


「今ので最後の人ですね。じゃあ帰るとしますか」

「そうね」

「あと知ってますか?夜は山谷風が山頂から谷に吹くからその風に乗れば速く帰れますよ」

 ふたりは顔を合わせて笑みを浮かべる

「「じゃあそれに乗って行こう!」」


―村付近―


 チャッピ-が何かに気づく

「あれ?なんか今日昨日より村が明るくないですか?」

「ほんとだお祭りでもやってるのかな?」

そして村に近づきふたりは気づく

「「ッ!村が燃えてる!」」

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