第一章

第一話 伝説の始まり


 エルナ・マシュラは立ち止まって、ふと迷いを感じていた。頭の中では壮大な冒険を思い描いていたものの、実際に旅が始まると、どこに行けばいいのか分からないという現実が重くのしかかってくる。


「ところでチャッピ-、旅に出たのはいいけど、どこに行けばいいと思う?」

 エルナは、あまりにも無計画だった自分に少しだけ気まずさを感じながら、木の精霊に問いかけた。


「えっ?えぇええ-!決めてなかったんですか!?」

 チャッピーは驚きで小さな目をさらに大きく見開き、信じられないというように体を震わせた。


 エルナは肩をすくめながら、

「だって-、困ってる人が都合よく見つかると思ってたんだもん-」

 と軽い口調で言ったが、心の中では不安がじわじわと広がっていた。お姉さんのように人を助けたいという強い気持ちはあるものの、どこから始めればいいのかが全く分からなかったのだ。


「そんな-どうするんですか」

 と、チャッピーの声には焦りが滲んでいた。彼もエルナの旅がもう少し計画的であると思い込んでいたようで、今の状況に戸惑っているようだ。


 エルナは深く息をついて、空を見上げた。夕暮れが森の木々を赤く染め、時間があまりないことを思い出させる。

「とりあえずもう日も暮れてきたから村に泊めてもらおっか。確か、この森の先に村があったはずだし」

 と言ったが、その言葉にはどこか不安が隠れていた。


「そうですね」

 とチャッピ-は静かに答えたが、心配そうにエルナを見つめていた。彼もまた、何が待ち受けているのか分からないことに対して、不安を抱えているのだろう。


―森―


「ほんとにこっちに村があるんですか?」

 チャッピ-が不安げに尋ねた

「あるはずなんだけどな…」

 エルナは自信が無さそうにこたえた

「もう夜になりますよ」

 チャッピ-が急かすように私を促す

「そうだ!」

 突然エルナか何かをひらめいたように声を上げる

「どうしましたか?」

 チャッピ-が驚いて声を上げる

「まぁまぁ待ってなさい。ここら辺の土を集めて…」

 エルナは手際よく地面の土を集め始めた

―数分後―

「できた!」

 エルナが満足げに言った

「これって…まさかこれに魂を宿して」

 チャッピ-がエルナが何をしようとしたかを気づいたように言った

「そうよ、この'馬’の形の土に魂を宿せば、運んでくれるから移動も楽でしょ」

 エルナが自信に溢れたように言った

「そうですね!」


―森の出口付近―


「エルナ様!灯りが見えてきましたよ!」

 チャッピ-の声が弾む

「ほんとだ!」


―村―


「ようこそおいでくださいまし」

 村に着いた私たちは暖かい明かりに包まれ、村長がむかえてくれた

「今晩は泊めてくださりありがとうございます」

 チャッピ-と私は深くお辞儀をする

「しかし、なぜ若い女性と小さな木の精霊さん?がこんなとこに?」

「私たちは困ってる人を助けるために今日から旅を始めたんです。」

「そうなんですか、若いのに大変ですねえ、そういえばその先の山のふもとに魂が抜けた者達が集まる場所があるそうです。明日行ってみればどうですか?」

 チャッピ-はその話に興味を持った

「確かに困ってる人をまだ見つけて無いので明日行ってみますか!」

「そうね。とりあえず今日はゆっくり休みましょう。」

 こうして私たちの旅の一日目は何事もなく終わった

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