Encode Life

らーさん

プロローグ


 この物語はとある伝説の『アニマクラフタ-(魂を創る者)』の冒険記である。


ー二十年前ー

『なぁ、少女、君の夢はなんだ?』

 黒い服にフ-ドを被った女性が‘私’に質問をしてくる

「私はおね-さんみたいに困ってる人を助けられる人になりたい!」

 女性は微笑む

『そうかなら私も………』

 そしてこの‘夢’はここでいつも途切れる

―――――――――――――――――――――

「エ…ナ様、エル…様、エルナ様!朝ですよ!」

 小さな木が私を起こしてくれる

「んん-もう朝か-」

 ‘モヤモヤ’が残ったまま朝をむかえる

「また夢であのお姉さんに会ったよ」

「またですか。今回は聞こえましたか?いつもの途切れている部分は」

「今回も聞こえなかったわ」

 私は定期的にあのお姉さんとの夢を見る。なぜなのかはまだ分かっていない

「ところで‘チャッピ-’今日の予定は?」

「今日は特にないですよ」


 私の能力は物に魂を宿す能力だ。そしてこの小さな木、彼はチャッピ-、私の持つ能力によって生まれた木の精霊だ


「でもどうしてですか?」

 チャッピ-が首を傾げる

「私、決めたの今日から旅に出るわ」

 数秒の間の後にチャッピ-は

「きゅ、急になぜそんなことを!?」

 チャッピ-の表情からは驚きが読み取れた

「私は、あの時のお姉さんが見せた笑顔を忘れられないの。彼女が差し伸べてくれた手が、私を救ってくれたの。あの温もりがなければ、今の私はいなかったかもしれないからね。だから次は私が困ってる人を救う番だと思うの。」



 それに、この旅はいつも夢で見る‘モヤモヤ’を解決するための旅でもあった


「待ってくださいよ!」

 チャッピ-は慌てて私の服の袖を引っ張った。

「本当に行くんですか?何も準備ができていないのに…」

 その目には不安が見て取れた。

「でも、行かなきゃいけないの。それに準備だって この杖さえあれば大丈夫よ!」

 私の言葉に、彼は少し沈黙した後、静かにうなずいた。


 この旅の先に何が待っているのかはわからない。でも、あの夢の中で感じる‘モヤモヤ’が、私を呼んでいる気がする。私の旅は、ただ困っている人を助けるだけでは終わらないかもしれない…。何か、大きな運命に巻き込まれようとしている。そんな気がした。

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