第6話 株式投資しかない1

日経平均はどうなっているかな?

7600円台になってから戻ってきたか、今は8000円台。

株がすごく安かった頃だな。


ここから2007年にかけて18000円台に上がっていくはずだ。

株で儲けるには丁度いいな。


来年4月になったら幼稚園か……行ってもしかたないな……

ちなみに俺が幼稚園に通い始めたら、母さんはパートの仕事に出るようだ。


見た目は、幼児だけど、前世からカウントすると17歳、そんな人が幼稚園の園児に混じってどうするの?

想像するだけで、恥ずかしい、無理だ〜。

それにどう考えても……幼稚園にのんびり行っている場合じゃない。


今すべきことは、お金、お金、とにかくお金を増やすこと、メイクマネーだ!

前世の苦労を思い出すと、メイクマネーしか頭に浮かばない。

そして、俺でもお金を増やせる方法は株しかない。


3歳児でも、クリックすれば株の取引はできる。

逆にそれ以外のことはまだ無理だ。


母さんに協力してもらい証券口座さえ作ってしまえば、クリックするだけだから、3歳児でも株取引はできるはず。

それに、株取引をしたぐらいで、世界の歴史に大きく影響を及ぼすことは絶対にないはずだ。


問題は種銭だ。

それがなければ、0円を何倍しても0円のままだ。

どうする?


3年保育の幼稚園費用を調べると、公立でも3年で40万円ぐらいはかかるはずだ。

私立の幼稚園ならその倍以上ぐらいかもね。

とにかく、幼稚園に行かなければ、40万円のお金が浮くはずだ。


これで交渉というか、ひたすらお願いするしかない。

まずは、インターネットでいろいろ情報収集だ、国際情勢や国内政治、経済、現在に科学技術水準とか、調べることがいっぱいあるな。


それに、勉強もしたい。

インターネットで、高校ぐらいまでの勉強は、さっさと終わらせよう。


母さんに株取引を認めてもらうには、どう話を切り出せばいいのかな?


……2002年10月……


母さんにどう話を切り出せばいいのか、いろいろ考えてみたが妙案は浮かばない。

正直に話を切り出し、反応を見ながら、臨機応変に説得するしかない。

その前に、幼稚園に行かないことも、了承してもらわなければいけないな。


今俺は……大事な話があるということで、母さんと向き合って座っている。

妙な構図だが、細かいことを気にしない母さんは付き合ってくれている。


「母さん、僕は幼稚園には行かないつもりです。近所の子供たちは行くのに、僕だけ幼稚園に行かないで、ごめんなさい」


母さんは、俺が他の子供と比較にならないくらい知能が高いのを知っている。

自分でインターネットに接続して、文字を入力して検索し、Web画面の文章を読んで理解しているのを見ているからだ。


普通の家庭なら「馬鹿なことを言ってないで、幼稚園に行きなさいよ! 幼稚園に行けば友達もできるのよ」で、終わるところだろう。

あるいは「あなたがずっと家にいたら、お母さんは何もできないでしょ!」と、言うかもしれない。


しかし、母さんは俺が普通の子供と違うことが分かっているから、幼稚園に行かない理由を聞いてくれる。

「どうして幼稚園に行きたくないの?」


「幼稚園で学ぶことが何もないからなんだ。家でインターネットを使いながら、いろいろな事を調べながら、幼稚園より高度なことを勉強したいです。実はもう高校で習うところまでは、勉強を終わらせているんだよ」


3ヶ月間という短い期間だが、父さんのお古のノートパソコンを使い、ネットの教育系コンテンツで勉強し、既に高校3年までに習うようなことは、全て記憶し理解している。


全国展開している、某有名塾の全国模試を受けても、きっと上位に入れると思う。

実際には、解答を記入するスピードが遅いから実現は難しいけど、解答がマークシート方式なら十分可能だと思う。


「そうね、匠ならそうかもしれないわね。それに匠なら、家に1人で留守番させても問題ないわね。父さんに相談してみるわね」


「もう一つお願いしたいことがあります。大事なことです。僕の名義で証券口座を作りたいです。許してくれますか?」

「証券口座を作るということは、株式投資をしたいということなの?」


「そうです! 日本や世界の経済状況を勉強し、自分で考えた株式投資理論を試してみたいのです」

もっともらしい事を言って済みません……


「でも株を買うには、お金がいるわよ?」

「母さん! 匠の一生一度のお願いです! 40万円を貸してくれませんか?」


「そうね、匠が幼稚園に行かないのなら、それぐらいのお金は浮くから、家計としては問題ないわね。そうなると株の話は、父さんに内緒にしておいた方がいいわね。あなたのことになると、あの人は心配性だから……」


「ということは、幼稚園のことも株のこともOKしてくれるの?」

「株はOKだけど、幼稚園のことは、母さんだけでは決められないわよ」


株はOKか……さすが母さん理解がある。

「ありがとう母さん。幼稚園のことも、よろしくお願いします」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る