捕らえられた騎士隊長を救助する
カンカン!!
キンカン!ドサッ!
カン!あっ!
うっ!
グサッ!
あああっ!
馬車の外ではエーリックと盗賊団が戦っているけれど・・・
10名ちかい盗賊を相手に1人では、多勢に無勢。
「エーリッヒさまが危ないですわ。行きますわよ!マルグリット!」
「かしこまりました」
椅子の下に隠していた鎧に着替え、大剣を腰に差したフェリシアお嬢さま
いつものメイド服風の鎧を着用したマルグリット、今日は大鉈のみ。
エーリッヒが戦っている反対側のドアを開け、
外へ出て戦闘中と思しき場所へ移動してみると・・・
「あらっ?エーリッヒさまがいない?」
「盗賊連中もいません」
「どこへ行ったのでしょう?」
地面を見ると、馬や人の足跡が多数みつかった「馬の足跡を追いかけましょう」
マルグリットが先に足跡を追いかけていく、お嬢さまも後をついていく。
森の中へ戻っていくようだ。
ん?こんなところに分かれ道あったかなぁ。
「お嬢さま、こんなところに分かれ道が有ります。ご存知でしたか?」
「いいえ。知りませんでしたわ。どこへ行くのでしょう?」
考え込む女騎士二人。
「とりあえず馬のひづめの後はこっちに続いているようです。行ってみましょう」
細いけもの道の様な道を進んでいくと、やがて視界が開け、一軒の小屋があった。
煙突から煙が細くたなびいているから人がいるようだし、
その小屋の裏手には3頭の馬が木に繋がれているのが見えた。
小屋にそーっと近づく二人が、窓から小屋の様子を窺うと
「エーリッヒさまが!」
椅子に縄でぐるぐる巻きにされたエーリッヒがうなだれて座っているのが見える。
盗賊どもはその小屋の中で酒盛りしている。
(騎士隊長を人質にして王宮から金を要求するか?)
(そうだな、親分がやりたいように!)
バコッ!
ぐわっ!!
「あ!エーリッヒさま!」盗賊の親分に何か言った後、気に食わなかったのか
腹パンチを食らっていたエーリッヒは、親分をにらみつけて何か言っている。
それも気に食わない親分から、顔面をグーパンチ!
(おまえは人質だ!しばらくそのまま静かにしてろ!)とか言っているようだ。
耳を澄ますと・・・
「帝国騎士隊長と知っての狼藉!許さん!このままで済むと思うなよ!」
バコッ!
ドサッ!椅子ごと、倒れるエーリッヒ。
「まずいわ!踏み込むわよ!」
「かしこまりました!お嬢さま」
「行くわよ!」
「はい!」
ドッ!ガシャン!!バッタ~~~~ン!!
小屋のドアを蹴破り、中へ踏み込むふたりの女騎士。
「あなたがたは・・・フェ・・・」
人差し指を唇に当て、黙っているように指示するフェリシア。
「なんだてめえらは!」
「そのお方の知り合いだ!大人しく観念しろ!」
「はははは!女だてらに騎士”ごっこ”かい?お嬢ちゃん」
「よいこは帰って寝なさい!はははははははは!!!!!!!」
フェリシアが向かってきた下っ端の盗賊を
ズサッ!
ぎゃぁぁぁぁぁ
袈裟懸けに斬り捨てると、「何をしやがる!この尼!やっちまえ!!!」
ズサッ!
バサッ!
ぎゃぁぁぁぁぁ
うわぁぁぁぁぁぁぁぁ
グサッ!!
あああああぁぁぁぁぁ
や・・・ら・れ・・・・・た・・・
あっさり盗賊団を始末すると残ったのは親分だけ。
「お、おお、おまえら、一体何者だ!」
「通りすがりの騎士だが、何か?」
「くそっ!まとめてやってやる!覚悟しろ!」
「覚悟するのは、あなたの方ですよ」
マルグリットが大鉈で親分の腕を切り落とす。
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ
「よくもやってくれたな!」
つぎはフェリシアが、向かってきた親分の左足を斬る!
ドサッ!うぎゃぁぁぁぁ!!!床に倒れ込む親分。
「これ以上、悪さを出来ないようにして差し上げますわ」
床についた手の指を一本づつ切り落としていく、お嬢さま。
マルグリットは反対側の手の指を・・・
ゔわぁぁぁぁぁぁぁ・・・ぎゃわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
「そろそろ止めのお時間ですわよ」
「解りました、お嬢さま」
「解ったから、もうやめてくれ!死にたくない!」
「あら、あなたのような方でも死ぬのが怖いのですね?
このお方はそれ以上の恐怖を感じていたのですよ。お分かりですか?」
「すまない!もう悪いことはしないから、許してくれ!」
「あなたのような方は、また悪さをするに違いありません」
と言いつつ、大剣を親分の首筋に当てると、思いっきり押し込んだ・・・
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・ぁ・ぁ・・・ぁ・・・・・・・
「マルグリット、息をしているか確認してくださる?」
「承知いたしました、お嬢さま」
手を親分の鼻に当てると、もう息はしていない。つまり死んだようだ。
「死んでおります」
「そうですか、ではエーリッヒさまを救助して帰りましょう」
小屋の中は、まさに血の海と化している。
エーリッヒの縄をほどくと
「あなた方は、いったい?」
「趣味で騎士をしております。このような姿を見られた以上、
私とはお付き合いされない方が良いと思いますが、取り急ぎ戻りましょう
そしてシャワーを浴びて、あなたさまはお帰り下さい」
馬車に戻り着替えをする二人の騎士。
「申し訳ありません、着替えますので今しばらくお待ちくださる?」
「はい・・・」
「どうぞ、お乗りください」
馬車の中では、喋らず、沈黙したまま。
「エーリッヒさまのお屋敷でございますよ。ではごきげんよう」
騎士隊長を、屋敷の前で降ろし、そのままラファエル公爵邸へ向かう馬車を
呆然とした表情で見送るエーリッヒ。「強い・・・あの人と一緒になりたい」
憧れに近い目線で二人を見送るのだった。
完
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