お見合い相手とピクニックに行くの巻

フェリシアお嬢さまのお見合い。


まぁ相手の男性は、公爵さまの古くからの親友、ルードヴィッヒ公爵家の跡取り息子エーリック・ヴァン・ルードヴィッヒと言うお方。

帝国騎士団第2騎士分隊長をつとめていながら、この国の最高学府を首席で卒業の

文武両道の超絶美男子。


マルグリットを含むメイドたちは、この世のものではないという感じで

その美男子を見つめているのでした。


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「ふぅ・・・つかれましたわ。マルグリット!」

「はい、お嬢さま」

「あなたの紅茶がいただきたいわ」

いつも、疲れるような用事が終ったあと、

フェリシアお嬢さまはマルグリットが淹れる紅茶をご所望するのだ。


とぽとぽ


「お砂糖はおいくつですか」

「いつもどおり2つよ」


「いかがでしたか?お相手の方は美男子だと言うことでしたが」

「確かに美男子だし、文武両道を地で行くようなお方でした。騎士隊長でもあるし。

 でもね、マルグリット。私には釣り合わないと思うのよ」

「どういう事でしょうか?」

「合わないってことね。私の様なじゃじゃ馬には勿体ない気がしますの」

「お嬢さまは、ご自身が思う程じゃじゃ馬だとは思いませんが。

 そんな女性は、この帝都にもごまんといますよ」


ほおづえをつきながら、お嬢さまは憂い顔。

「お父さまの事を考えると、エーリックさまとのことを断るわけにも・・・」

「もうすこし、お相手のことをよくご覧になっては?」

「どうしますの?」

「たとえば・・・」


マルグリットはそのお方を、

いつものダンジョンで魔物にどう対応するかで判断しては?と

「そこでの彼の行動を見て、判断されてはどうでしょう?」

「それもそうね、面白そう!じゃあ執事のアーネストを呼んで下さる?」

「かしこまりました」


やがて執事のアーネストがやって来た。

「お呼びでございますか?フェリシアお嬢さま」

「あの方と、ピクニックに行きたいのですが?取り次いでもらえますか?」

「おお!それはお父上が喜ばれますぞ!ではその旨報告いたします」

「よろしくてね」


ラファエル公爵が執事のアーネストと共に、お嬢さまの部屋へ。

「話はアーネストから聞いた。ピクニックに行きたいということだな。

 ルードヴィッヒに伝えておこう!喜ぶと思うぞ!よく判断してくれたな

 改めて礼を言うぞ」

「アーネスト、フェリシアのためにあらたなドレスを用意しておくように!」

「かしこまりました公爵さま」


「でもマルグリット。そのお方がダンジョンを全て制覇されてはダメですよ」

「解っています。エーリックさまの騎士としての実力を見るだけですから」


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「お誘いいただき、光栄に存じます」

エーリック・ヴァン・ルードヴィッヒは、お見合いの時、同様、騎士としての

正装でやって来た・・・ピクニックにですか?不釣り合いな気がしますけど。


「お出で頂きありがとうございます」

フェリシアお嬢さまは、大好きな赤いドレスではなく、動きやすいパンツルック、

「きょうは私付きのメイド、マルグリットも同行しますが、よろしいですか」

「どうぞどうぞ!私のフィアンセのメイドなら、喜んで!」


お屋敷の馬車を仕立てて出発。

馬車の椅子の下にはフェリシアとマルグリットの鎧と大剣、大鉈が解らないように

積んであるのだった。


ついこのあいだ、セバスニタウンにあるお屋敷の地下室から、

マルグリットが、人知れずもちだしたものを馬車の椅子の下に積んでおいたもの。

いざ何かのときには着用して戦う準備が出来ていることをエーリックは知らない。


エーリックとフェリシア、そしてメイドのマルグリットを乗せた馬車は

目的地テルシニア高原へむかって、のどかな田園風景の中を進んでいく。


帝都を外れて、しばらく進むとこんもりとした森が見えてくる。

その森の中の一本道を進む馬車。

テルシニア高原へ向かう道はここしかない。

行商人も旅人も、みんなこの道を歩くか馬に乗って移動するのだ。


ただ、この森は別名「盗賊団の森」とも呼ばれていて、

なんどか行商人が襲われる事件が頻発しているのも確かで。

「フェリシアさま、この森のことはご存知ですよね?」

「はい、盗賊が良く出没すると聞いています。でもこの道しかないので、

 用心するように言っていますが」

と、他人事のような話をしているうちに、鬱蒼とした森を抜けかかった、その時。


背後からバタバタバタと馬の足音と、人が走ってくる音がしだした。

馬に乗った奴らは、フェリシアたちの馬車を追い越すと「止まれ!」と指示する


仕方なくその場で止まる一行。


「おい!お前ら、どこへ行くんだ!」

「お前たちに話すことは無い!そこをどけ!立ち去れ!」

「おいおい・・・ずいぶんと威勢がいいあんちゃんだな。お!女もいるのか!

 これはなかなか面白そうだな」

「貴様たち!この私を誰だと思っているんだ!

 帝国騎士団第2騎士分隊長エーリック・ヴァン・ルードヴィッヒと知っての狼藉 

 か!」

「これはこれは騎士隊長のお出ましかい?ますます面白くなってきたじゃねえか!

 野郎ども!やっちまえ!女には傷をつけるなよ!」


盗賊はおよそ10名ほど、騎乗が3名、他は徒歩戦闘要員のようだ。

「フェリシアさま、マルグリット。あなたがたはこちらでお待ちください!

 扉を絶対開けないで!」「解りました」と言いながら、外からわからないように

 鎧に着替えているのだ。カーテンを閉めたまま。


外では盗賊団と騎士隊長エーリックが闘っているのだった。


だが・・・








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