見るも汚らわしいですわ!オークなんて!
相方のフェリシアを結界の中に封じて、その身の安全を確保したマルグリット。
(マルグリット!足を!足を狙って!)と結界の中からフェリシアが念じている
だが、その念がマルグリットに届いていないようだ。
さいわい、その動きは緩慢で、俊敏なマルグリットの動きに対応でないオーク
しかしそのパワーは圧倒的だし、その一つの大きな目からは、相手の動きを
止める、ある種類の魔法光線が出ているから、その目を見てしまったフェリシアは
動けなくなっているのだ。
ズシン、ズシンと巨大オークが歩くたびに地面が揺れる
その揺れの為、マルグリットの姿勢が崩れ、なかなかオークに正対出来ないでいる。
そんな不利な状況でもマルグリットは諦めない。
鈍重なオークに比べると軽快なフットワークで、オークの足元に近づくと、
その大鉈で、足を切り裂く。
ぐぉぉぉぉぉぉぉおおおおおぉぉお
今度は背後に回って後ろから反対側の足を、真っ二つに切り裂くと、
さしものオークも立っていられず、その場に倒れ込む。
どどどどどどさぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
その衝撃で転倒し、岩の壁に叩きつけられるマルグリット
ううううう・・・・・・
その時、パリンと音を立てて結界が破れた。
「マルグリット!大丈夫?」
オークが倒れた事で、かけられていた魔法が解けたのかフェリシアが駆け寄る。
ぐぐぐぐぐぉぉぉぉおおおおおおおおおお!
と凶悪な雄たけびを上げつつ、オークが立ち上がり、二人に襲い掛かる。
しかしすでに足をやられているから、歩くことはほとんどできないでいる。
そこに
たたたたっ・・・と岩壁を軽快に飛び越えていくフェリシアが
やっ!
背後から大剣でオークを袈裟懸けに斬り捨てた。
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁあああああ!断末魔の叫び声を上げつつ
どどどどどどどどどどさぁぁぁぁ
まっぷたつにされたオークは崩れ落ちるように倒れ込み・・・
「行きますよマルグリット!」
「はい、お嬢さま」
やぁぁぁっ!
はぁぁぁぁぁ!!!
フェリシアはオークの心臓を一突き!
背中からマルグリットが大鉈で首を切断し・・・
ようやくオークを斃すことが出来たのだった。
はぁはぁ・・・・
ふぅ・・・
二人は岩に腰掛け一息入れている。
「今日は、ちょっと厳しかったわね」
「はい、お嬢さま。すこし手こずりました、申し訳ありません」
「いいわよ、今日は。帰ってシャワーでも浴びましょう」
魔石を使ってお屋敷の地下室へ戻る。
ふたりとも鎧を外し、シャワーを浴びつつ・・・
「あのオークは、魔法が使えるの?」
「はじめて知りました。使えるオークとそうじゃないのが居るって事でしょうか?」
「おそらくそうでしょうね。でもまたあんなのが出るのはイヤですわ」
「そうですね、私もごめんですね」
そしていつも通り、
フェリシアは赤いドレス、マルグリットはメイド服に着替え応接間へ。
「あら、もうこんなお時間?」時計を見ると、もう朝だ、
厨房からは朝食の準備をしているのであろう、心地よい香りが。
「お嬢さま、お待たせして申し訳ありません」と料理人のフェブラーがやって来た。
「用意が出来ましたら、お呼びに伺いますのに」
「いえいえ、たまにはあなた方に、ゆっくり仕事をして頂きたくて」
「何と、心のお優しいお方なのでしょう・・・このフェブラー心服いたしました」
このお屋敷では主人のフェリシアをはじめ、
使用人たちが一緒に朝食をとることになっている。
これはフェリシアが言い出したことで、堅苦しくなく、
帝都のお屋敷ではルールがうるさくて・・・だそうだ。
帰る日まで、フェリシアとマルグリットは
帝都のお屋敷では味わえない、ゆっくりとした時間を過ごすのだった。
完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます