お見合いをする前に

エミー・ガルニエが騎士隊に入隊してからしばらくして。


「フェリシア、ちょっと話が有る」

「何ですか?お父さま」

フェリシアお嬢さまの御父上、ラファエル公爵。

この国の皇帝陛下の側近として王宮でのお仕事をされているのです。


公爵さまの執務部屋に呼ばれた、お嬢さま。

「如何されましたか?」

「うむ、実はなわたしの士官学校時代の同級生である、ルードヴィッヒ伯から

 そなたにお見合いの話が来ているのだ。彼の長男であるエーリックなんだが」

(またお見合いの話かしら?何度目なの?他にも女はいっぱいいるでしょうに)


はぁ~~~とため息をつくフェリシア

「そなたも不満だろうが、わしの顔も立ててもらえぬか?」

「解りました、お父さまのお仕事に差し支えるのでしたら、お会いしましょう」

「会ってくれるか?」

「ええ、ただし私の好みでなければ、お断りしてもよろしいですか?」

「それはもちろん、その時はわしの方からも話をする」

「では、段取りの方はよろしくお願いします」

「解った」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

部屋戻って来たフェリシアお嬢さま。

「マルグリットまた、お見合いの話ですよ」

「そろそろ、お嬢さまもお相手を決める時期になったのではありませんか」

「そうは言ってもねマルグリット。

 結婚することになったら、あなたとの楽しい時間が無くなりますわよ」

お嬢さまは、メイドのマルグリットとのダンジョン探索の時間が無くなることを

危惧しているようだが・・・

「お嬢さま、それは結婚されてからでも、いくらでも探索できると思いますよ。

 それではご不満ですか?場合によっては、お相手の方も一緒にと思いますが」



そのお見合いは次の月に行うことになった。

「その前に一度、行きましょう!マルグリット」

「承知しました。では準備をいたします、お嬢さま」


「では、お父さま行ってまいります」

「気を付けて行ってきなさい。マルグリット頼んだよ」

「承知いたしました」

帝都のお屋敷が見えなくなると、「ふぅ」「堅苦しいのはイヤね」



セバスニタウンの屋敷に着くと、いつもの様に使用人たちのお出迎え。

「1週間は滞在しますから、よろしく頼みますよ」

執事長のバウンダリーが「承知いたしました、お嬢さま。一同気持ちよく滞在していただく様、万全を期しておりますので、ご安心を」


「マルグリット、明日の夜、行きますわよ」

「承知いたしました」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そしてその当日の夜がやってきた。

いつものように、地下室へ向かう二人。

フェリシアは赤い鎧に深紅のマントを翻し、使い慣れた大剣を携え、

メイド服風の黒い鎧を着用し、大槌と大楯で完全武装したマルグリットが


「では、参りますよ」

「承知しました」

「今日は第8ダンジョンに入りますよ」


ダンジョンへの石造りの暗い通路を歩く。

【8】と書かれた木製のドアを開けると、いきなり巨大な蛇が襲い掛かる!

だが、マルグリットが携えた大きな槌で、蛇の頭を押しつぶし最初の魔物を殺した。


次々に襲い掛かる魔物たちを瞬殺していく、お嬢さまとメイド。


「今日はずいぶんたくさん魔物がいますね」

「ええ、どうしたのでしょう。このダンジョンの魔物は、さほど多く無い筈ですが」

何かおかしいと思いながらも先へ進む二人。


いよいよ最後の魔物が出るころだと思いながら、進んでいくと、前方に宝箱が有る。

「お嬢さま、有りましたよ」

「あ、有りますね、ではあれを・・・」と言い終わらぬうちに地面が揺れ始めた!


「えっ?なに・・・どうした?」

「なにか出てくるようです!お嬢さま、お気をつけて!」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオゴゴゴゴゴゴゴゴ


ゴゴゴゴゴーーーーーー

地面がわれ、土誇りと共に大きな”何か”が出てきた!


ドゴォォォーーーーーン!!!!!


地下から出てきたのは、巨大なオークだった!


「こんな奴いましたか?」

「いいえ、お嬢さま。これは今までに居なかったタイプです」


巨大な緑色をした皮膚をまとうオーク。

その頭には一つの大きな目が、二人を見下ろしている


「お嬢さま!目を見てはいけません!」

と言う前に、フェリシアはその大きな目を見てしまった!


とその瞬間、「うっ・・・」フェリシアは動けなくなってしまった!!

「お嬢さま!!!!」


「マルグリット、すまない・・・あなた一人で頼みます」


ピシッ・・・

マルグリットは動けなくなったフェリシアが襲われない様に、結界を張った。


「かくなる上は、私だけでお前をたおす!!」


巨大なオークへ突進していくマルグリット。

だが・・・

バサッ!ドサッ!


ガラガラガラガラ・・・・・・・

大きな掌で吹き飛ばされ壁に叩きつけられるマルグリット。


くっ・・・まだまだ・・・何のこれしき。


ゆっくりと壁にもたれるマルグリットへ歩いてくるオーク



さぁどうする!




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