一千一秒・譚
Kou
第1話 スーパームーン
さくばんの月は、スーパームーン、凄い名月だったというけれど、僕は寝支度に大変だった。7年ぶりにトリスの瓶ウィスキーを水割りで飲んで、足先まで電気が走っていた・・・。脳は麻痺していることが自分でもわかって、おまけに疲れの為か、幻聴、鬼語さえ聞こえてきたんだった。
ぼうとした頭で、僕が7年ぶりのお酒に走ったことも、先のスーパームーンの影響ではないかと考えた。スマフォを持って一軒家の自宅から出て、庭からスマフォのカメラ機能で、月を撮影しようとした。すると。
何度確認しても、ログを眺めるとそこにお月様なんか映ってやしない!只、玄月というのだろうか、夜を背景として、夜よりも黒い円が映っているばかりである。
はてな?
怪しんでいると、急にスマフォが膨張しはじめた。「わっ!」と思って手を放した途端、スマフォは光りとガスになった。驚いている内に光たちとガスはパッと昇天して、見上げるとそれはスーパームーン、お月様になった。
「カメラなんか野暮ですよ。その目にとどめておきなさい」
どこからか、そんな幻聴が聞こえて、僕はただだんまりしん、となっていた。
一千一秒・譚 Kou @kyotana
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