第18話  お掃除、お掃除〜


朝。



朝だ。チュンチュン言わない朝。




ユラユラと起き上がってふと見るとミレイ



『おはようございます、ニコ様』



恭しくオジキじゃなくお辞儀。



顔を上げニコニコしながらむんずっ



ほっぺをギニニニニニニっ



いひゃい!いひゃい!



『昨日はやってくれましたね!』



あ!ジャンケンマスターロブか!



『あれからまたロブさんにお小言でしたの』



うふふふ。笑顔こわいよ。



『おひゃよー』



まっ!みたいな顔しないの。



こういう時の対処はこれ一択だろう。



僕はインベントリからブツを出す。




シュパッ



白ワイン(リラックス)だ。




ピクッとミレイが止まる。



『まあ〜なんて事でしょう、どこでこんな悪い事を覚えましたの?、いいですか?ニコ様、こんな事で、悪さを乗り切ろうなんて、こんなにおちいさく可愛らしいのにっ、めっ!です!』


賄賂が更に怒られてる要因になってしまった



うむ。反省だ。



ワインをしまう…か?、あれ?



おい、ミレイ。



何だそのメイドエプロンのポッケからはみ出しているのは!



『んんっ!ちょ、ちょっと、ニコ様のご用意の、あれを忘れてしまいましたの、少々お待ちください』



くっ!賄賂だけ取られて叱られた。



敗北だ。



ふぁーいい天気だー。コハクとユオを撫でながら待つ。


コンコン。


『さあ、朝のご支度なさいましょ』



何もなかったと無言の主張だった。



それから顔洗って(抱っこ中)から



謎のホカホカ布巾?タオル?を渡された。



コテン?としてると



ああ、そうか見たいな感じになり



『こちらでお角さまをお拭きになってくださいませ』



おおっ!お角さま用かー!



むんむん!フキフキ。


以外に難しいな。なんか変な恰好なってたら



見かねたミレイが拭いてくれた。



『良いですかニコ様、魔族の方や有角種の方はお角さまのお手入れを非常に大事にされます。身だしなみなのです。これから素敵な殿方になる為にはお角さまもしっかりケアしてあげるのです。』



ほほー。そうなのか!でもお角さまかっこいいからね。



『ロブさん、、ぷっくく、ひゅー、ロブさ、ん、を見て、いたっくふふ、だくと、とてもダンディー、、あははははっ!ヒィー』



あ、出来るメイドかと思ったら駄メイドになってしまった。


うーん。



ごほんっ



『失礼。まあ身だしなみは気をつけましょう。』



ざっくりだった。



『ミレー、大丈夫?』



『はい、大丈夫ですよ。何か心配ですか?』



いや、心配しかないよ。



食堂行ったらロブいるぞ。大丈夫か?



『おはよう御座います。ニコ様』



ぷくくくくっーー!



ダメだった。僕が。



倒置法。



チラッ。ぶくくくー。ダメだ!



手で、手で口を押さえるのだ!くふっくふっ



ロブがしゃがみ僕に目線を合わせる。



にっこりしながら目が笑ってない。



そしてバリトンボイス。



『お食事の後で少々、お話しましょう』


『ミレイもですよ』


びっくー。


それでも朝ごはんは美味しかった!


見た事無い食材とか目玉焼きがビッグサイズだったり


美味しい時間、矢の如しだった。



食事のあと、僕はミルク。


ロブはカフィ。



ミレイは

『あ、私食器の洗いも…』



『どうぞミレイさんも座って』



うむ。をいや、有無を言わさない迫力だ。



カフィを一口スッと飲む。男前な所作だ。



お角さまもテリッてして素敵だ。



だからこそだ!ギャップだ。


萌えない方のだ。おい、コラ。横で震えるんじゃない!笑いが伝染するだろーが。




ふうーー。



『で、昨晩から一体なんですか?ミレイさんはニコ様がのぼせるまでお風呂に入れて少々注意をすれば何やら笑いを堪えて最後は大笑い。』


スっと僕の方を流し目で見る。



『ミレイさんだけかと思ったら朝からニコ様も私を見ると吹き出す。私にどこか可笑しな所が御座いますか?』



御座いません!御座いませんから余計笑ってしまうのです!



くふふ。ダメだ。コラ、ミレイ。



ここは2歳児爆発の場面だ!




『くふふふっ、あのねもしねぇロブがジャンケンマスターだったら面白いねーって昨日お風呂で言ってたら止まらなくなっちゃったのごめんね〜』


はぁ?みたいな顔のロブ。ミレイを見て


『ミレイさんあなたもですか?と言うかジャンケンマスターって何ですか?何故私がジャンケンマスターに?』




あっ、ダメだってそんな連呼しちゃ。



『ぷっくふっふふふ、す、すいま…』


堪えるミレイに援護だ!


『ジャンケンマスターはね、初めてジャンケンスキル取った人の事だよ!』


ぷーくすくすくす。


おい、ミレイ!


『す、すいません、マスター』


くふっぷくくくく。ミレイなんて物ぶち込んでくるんだ!自爆してるじゃないか!



『まったく!私がマスターだとそんなにおもしろいですか?』



僕はもうここでダメだと思った。なのでソファから降りてトコトコとロブの方へ行き耳打ち。


ロブも察した様子。


『ねえミレイ』


キタ!バリトゥンーぼぉいす!


スッ立ち上がりミレイに背を向ける


『知ってるかい?ジャンケンってぇのは』


所作が綺麗ね!



くるっと振り返り腕を振り下ろす!




そして決める。




『1人じゃ出来ないのさ!』



ひしぃっーーー!とチョキを出す。




あはっあははは、あははははははーっ



ひぃーっひっひっははははっ



ソファバンバンだ!



あはははっーーーー!



もうお腹を押さえてひゅーひゆー


僕はロブに


『人って簡単に壊れるんだね』と。



ロブも


『ええ。確かに。しかしこれはよいお仕置きを思いつきましたね。ジャンケンマスターロブですか。ふふふ』


お、意外に楽しんだ?なので昨日のお風呂での話しをした。


『あぁ、ニコ様はさらっと世界の真理の一端を言われますなぁ。しかし不思議とジャンケンにしても誰もが思いつかないかもしれないですな。』


僕はまず安心してもらう事にした。


『世界の真理だけど「女神コイン」で制約掛かってるから大丈夫とおもうよ〜。ロブも神聖魔法の後聞こえなかったんでしょ?』


そう、やはりロブも同じ結果だった。


そして僕はまたむくむく2歳児だ。


『でね!でね!ロブばどーおもう?ジャンケンスキル!僕はねぇ楽しい事を思いついてしまったの!』


ふんすふんす


『ほほう!それは僥倖!その楽しいにはこのロブも参加させてももらえるのですか?』


僕はくふふふっと口を抑える


キョロキョロと周りを確認してそっとロブに耳打ちする


『3人でジャンケンスキルやるんだけど僕とロブはね、くふふ、回数を少なくするの!そしたら〜?』



ほうっとロブ


『ミレイさんが1番回数が多くなりますな!』


『そうそう!回数だけじゃ無いかもだけど回数は関係ありそうなんだよね〜。だからお掃除の時とかに、ぷくくっ、多くなってもしかしたらジャンケンマスターミレイになるかも!くふふふっ』


ふふふふとロブも笑ういや、嗤う。


『個人でジャンケンした分も記録をつけましょう!ははははっ。ニコ様もしスキルが開花すればすぐに我らも開花するやもしれません。そうすると初のジャンケンマスターが薄れるかもしれないです』



ふむ。やはりできる男だ。


む!キュピイーン‼︎ 天啓きた!


『降りてきたよロブ。ふふふ。天啓だ』


ロブが息を呑む。






『初代様だ』





なんて甘美な響きだろう。




これにはロブも唸った。


あ、天啓は雰囲気でってちゃんと言ってある




僕はこの後ミレイに会うたびに


初代様と呼びそうになるのを堪えていた。


そしてロブには僕の“厨二さん“のジャンケンポーズを伝授しておいた。お仕置きに使って




と、並列思考を無駄に使いながら


祭壇部屋の整理をしている。と言ってもひゅいひゅいインベントリに入れてるだけたけど



『ニコ様〜こっちもお願いしま〜す』


うむ。待っておれ。初代様。



『ニコ様、こちらは入りますか?』


うむ。暫定マスターもすぐにゆくぞ。



僕は転生2日目にしてジャンケンスキルのおかげで2人との距離が縮まった。


これだけでも朗報だ。遊びとして流行るんじゃないかな?

 


みんなで繋ごうジャンケンの…げふんげふん



ふう。危ない。


おっと。次はあっちか!すると頭の上からコハクがミレイの所へ行くアピール!


『あらあらコハクちゃんも手伝ってくれるのありがとう!でもねあぶな…ええっ?』



ん?どした?


ミレイの所に行くと


『あ、あ、あの、い、椅子が椅子がすいーっなんです!』


本当にどうした?昨日の午前中まで可憐なメイドさんだったのに。


『ミレイさん、それでは伝わりません。ゆっくり落ち着いて何があったか教えてください』


すーはー。


『こ、コハクちゃんが近づいてきたので危ないですよーって言ってたら椅子が消えちゃったんです!』


ああ、それね。


『ミレー、大丈夫!コハクここにさっき入れたの一回出してぇー!』


コハク、ふんす。そしてピャッ。


椅子が出てきた。そして説明する。



『コハクもユオもアイテムボックスの大持ってるから。お手伝いしたかったみたい』


さらっと言うと2人ともビックリだ。


え?そんなに?


『えっと、そんなにビックリする?アイテムボックスって商人さんとか持ってるってきいたけど』


はっとしてロブ


『あ、ああ、そうですね。ですが流石に動物が持っているのは聞いた事がなくて…』


するとコハクが抗議しにロブのアタマに乗ってテシテシする。こらやめなさい。


そんな、だってぇ〜みたいな顔しないの!


『んっとね、コハクは多分わたしは“天狐“よ!動物なんかと一緒にして失礼しちゃうわ!って言う感情が流れてきたねぇ』



ジト目のミレイ。


『ニコ様、口調は盛りましたね?』


くっ、何故バレた。一方真面目なロブ。


コハクを抱っこしながら謝っている。足元にはユオ。『にゃ〜ん』君もか!


『たぶんここが祭壇部屋だから2人もお手伝いしたいみたい。僕たち3人は一緒に女神様に叱られたソウルメイトだからね〜』


なんて事を言ったばかりに


すっとロブが近寄り一言。


『詳しく』


え!ええ〜!


『ま、また今度!ほらお部屋片付け無いと』


ふうー。


そうして女神説教ーズも加わりあっと言う間に空っぽに。



元々部屋にあった家具なんかは一度庭に出して天日干しするって。



庭初めてだ。あ、外が初だった。



おおーっ!大自然〜でも前庭、綺麗ねー。


『綺麗ねぇコハク、ユオ』


2人もすんすんしてる。コハクは空中をあちこちとんとーん。って走ってる。飛べるからねあの子。でもまだちいさいから

 


『コハク〜!疲れちゃうから戻っておいで〜!あっユオもそんな所にでゴロゴロしないの!まず部屋の家具出してっ』



まったくもう!ちょっとミレイが離れてるからって…絨毯洗うって言ったっけ?



んー?んー。うーん。
















きゃっ!きゃっ!


まてまて〜!あ!ユオずっる〜い!



とうっ!あはははっ。



にゃらにゃにゃ〜!きゅいぃ〜れ



まてまて〜ぇい。えいっ!


くふふ、バレてますよ〜




きゃきゃきゅきゃ、うふふ〜、




















『ご、ごめんなさい…』


土まみれ、草まみれ、汗まみれの


3まみれ。だった。



笑顔の鬼がいた。いや鬼ば…ひゅっ!

ガタガタガタガタっ



『ニコ様〜、コハクちゃ〜ん、ユオちゃ〜ん。どうしてそんなに汚れてるのかな〜?あっれ〜?おかしいな〜?部屋の家具がひとっつも無いのは気のせいかしらぁ?』


そう言いながら腕組みから片手を頬に当ておかしいわね〜を連呼しているミレイ。



くぅ。切り抜ける名案がない。


賄賂(ワイン)は今朝渡したばっかりだし。


な、なにか、切り抜ける方法は無いのか!


『(インベントリ)』


ヒュウゥーン


【スキンケア・美肌・肌年齢活性シリーズ】


♦︎美肌セット(S・A・B)

♦︎潤いくすみ取りシリーズ(S・A・B)

♦︎肌年齢活性セット(女神監修 特S)

♦︎基本は洗顔からセット(S・A・B)

♦︎手荒れ?聞いた事無いわセット(S・A・B)

♦︎内臓から綺麗セット(暴飲暴食OK)

♦︎くむみ?初耳だわ?セット(美の女神製)

♦︎信じるかは貴女次第(1size up胸)限定1

♦︎全シリーズ取扱説明書

—————————


ええ⁈なんでこんなの入ってるの?

え、ミレイ用かな?


と、とりあえず取扱説明書渡してみよっかなー?


『えーと、ミレイさん?』

『なんですか!』


『こ、こんなのあるみたいなんだけど要らないかな〜と思ってぇ』


説明書をそっと渡す。


ざぁーっと読んでピタッ。もう一度上からひとつひとつ丁寧に見ていく。もう4往復目だ



すると説明書をエプロンに入れてすっと片手を出してくる



『えーと、ど、どれかな〜?』


『全部』


『え?』


ぎろり。ひぃ!


ひゅぱっ!おおっ⁈トランクに全部入ってるのかな?


ヒュン!

 


シュタタタタタタターっ






 








ふぅーーーーーー。



『こ、こわかったねぇ〜』


3人で魂で震えた以来のぶるぶるだった。



その後せっせと家具だしてあとはお日様にお任せさ!




パタパタを持ってきたミレイは上機嫌だった





パタパタパタパタ




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る