第123話
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リジーへの罪悪感と自分の不甲斐なさ、そして千捺さんともう会えなくなる悲壮感から、俺は深く落ち込んでいた。
どん底だ。
「琴平。最後だし、言っちゃってもいいんじゃね」
三上は俺の恋情にずっと前から気付いている。
「言えねぇよ」
「だろうな」
「これが最後の嘘だから、合わせてくれよ」
「わかってる」
そんな会話を交わして西院家の門を潜った。
俺の為の送別会。
俺の為に好物をたくさん並べたテーブル。
味はイマイチだけど大好きな「彼女の」明石焼もある。
食べて飲んで、飲みまくって爆睡。
翌朝、彼女は俺が一番旨いと絶賛していた中華粥を振る舞ってくれた。
「いってらっしゃい。またね」
今にも泣きそうな顔で精一杯笑顔を作って、俺を送り出してくれた。
「惚れてました」
そんな言葉を機上で小さく呟いて、俺はイギリスを飛び立った。
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