第119話
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どんどん身重になっていく千捺さんを見るのが辛くて、頻繁に通うことも遠慮した俺は、アパート近くのパブで時間を潰すことが、多くなった。
三上は付き合うと言ってくれるけど、恋人との時間も大切にして欲しい。
「今日はひとりね」
この店に通い始めてからの付き合いである、フォトグラファーのリジーが俺の横に滑り込んで来る。
そばかすを隠さないノーメイクの顔。
けれども彼女は誰が見たって美人で、スタイルも抜群。
『すべての人種の男と寝るのが目標なの』
初めて隣で飲んだ夜にそう言われて、そのまま俺のアパートに連れ込んだ女。
それから顔を合わす度に、抱いている。
リジーとは割り切った関係だ。
だから、罪悪感も芽生えない。
惚れてる女の前では、「結婚したい」とうそぶいて心配させてんのに、やってることは真逆だから情けない。
俺の上で極上の身体をくねらせて喘ぐリジーを感じながら、瞼を閉じて彼女を想い描く。
ほんわりと微笑んで、お得意の「なんちゃって風」料理を用意してくれて、俺の美味しいって言葉にほっとする彼女の顔を。
決して手にすることができない女を、俺はリジーを抱きながら今夜も恋い焦がれている。
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