第116話

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イギリスでの仕事にも生活にも慣れだして、同僚の三上とも友達のように仲良くもなった。



週に何回かは西院さんちに晩飯をごちそうになるのも恒例化していて、俺の食生活も充実している。



その夜も三上とお邪魔して夕食をたらふく食って、ぐでんぐでんになるまで焼酎を飲んでしまった。



「お前ら、いい加減に寝ろ」



呆れた様子の西院さんにゲストルームへ押し込まれた俺と三上は、セミダブルとソファに分かれて寝転ぶ。



「朝飯、出汁巻卵がいいな」



「ホントお前、奥さんの料理好きだな」



「毎日食いてぇくらいだよ」



彼女の料理は日々進歩している。



だから楽しみなんだ。



本来なら西院夫婦の朝食はカプチーノとビスコッティ、そして野菜のスムージーだけ。



けれど俺らが居る時には、それなりの朝食を用意してくれるんだ。



多分、日本食が恋しい俺を気遣ってのことだろう。



そんなことを考えながら、重くなった瞼に従って眠りの世界へと旅立つ。

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