第63話
「なんだかバタバタしてて、新婚旅行のお土産渡しそびれてちゃってごめんね」
園子からのリクエストだった真っ赤な総レースの下着を包んだ箱と他の友人の為に買って来たスキンケア商品やチョコの箱をカフェのテーブルに並べた。
「いいのよ、私やみんなも千捺が落ち着くまでは邪魔しないでおこうって言ってたから」
「そうそう。千捺が幸せなら私たちそれでいいんだから」
「だから気にしないの」
リーダー格でお姉さん気質の園子は、デザイン事務所に勤務。
甘い物が大好きで天然な翠は、新人パティシエとして修行中。
男がいないと駄目な恋愛体質の沙苗は、OL系ブランドの販売員。
高等部からそのまま系列の女子短大へと進路を共にした私たち4人は、もう6年の付き合いになる。
彼女たちは私と違って仕事と恋を両立している大人な女性。
「昴さんには可愛がって貰ってる…みたいね」
クスリと意味ありげに笑う園子は、こっそりと箱の中を覗いて「これって千捺とお揃い?」なんて聞いてくる。
それに反応した翠と沙苗も「うわぁ、大胆になっちゃって」と私をからかった。
園子の「どんな下着買って貰ったの」と言う質問から、最終的にラズベリー下着の顛末までをあの手この手で白状させられた私は、みんなの顔をまともに見れないくらいに項垂れて泣きそうだった。
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