第43話

再びベッドで彼に可愛がられた私は、日暮れ近くになってもそもそとベッドから這い出した。



時間指定でイタリアから送り届けた数箱の段ボールを開けて、昴さんはリビングで荷物整理をしてくれていた。



彼の会社関係の土産物は、トリノで買ったチョコレート。



チョコレートマップで各店を試食しながら選んだ、日本では無名の老舗店のチョコだ。



彼の実家には、彼も大好きなカルヴァドスとお酒のチョコレート。



私の実家へは、リモンチーノと言うレモンのお酒と大量のお菓子。



姉からのリクエストだったロクシタンのボティケアクリームもシャルルドゴールの免税で大量に購入した。



そして私と彼を引き合せてくれた杉谷さんには、無難だけれどエルメスのスカーフと旦那さま用にネクタイを選んだ。



「お店でも開けそうだね」



フローリングにいくつもの山を成している土産物を眺めていると、悪戯げに彼がひとつの箱を差し出す。



「呑気なこと言ってないで、これ、どうするんだ」



僅かにずれた蓋から覗いたそれを確認すると、鷲掴みにして逃げるように寝室へ駆け込む私の背に、後ろから昴さんの笑い声が追い掛けてきた。

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