第41話

「千捺」



寝室の新品のベッドに寝転ぶと、すっかりそれが当然のように昴さんが私の上に覆い被さり唇を求めてくる。



拙い仕種で舌先を絡めて応えると、彼はとても妖艶な眼差しで微笑み、さらに行為はエスカレートしていく。



彼に裸を見られることになんの抵抗も感じないのは、すでに自分の知らない場所を彼の方が良く知っているからかもしれない。



そして彼の逞し過ぎる裸体を見るたり触ったりするのにも、躊躇いも恥ずかしさもなくなった。




いつもより、私の中心を味わい虐め尽した彼は緩やかに身体を起こした。



朦朧とした意識の側で、彼が避妊具を手にとり装着している。



「夫婦なのに?」



思わず声にしてしまう。



「今仕込んだら海外で出産ってことになるし、千捺だって不安だろ」



確かにそうだ。



そういうこと、考えてなかった自分が情けない。



「避妊しても授かることもあるけど、しばらくふたりの生活が落ち着くまで急がなくてもいいんじゃないか」



「はい」



繋がると言う瞬間にとても現実的な会話を交わしている私たち。



好きだの愛してるだのと言うセリフもなく、そんな言葉よりも彼の存在が自分の中で絶対的になりつつある私は、夫としての彼の配慮に喜びを感じている。




「舌、噛むなよ」



「っ」




結婚式から12日目、入籍2週間目にして私たちはようやく結ばれた。

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