09 新居

第40話

シャルルドゴールから日本へ帰国したのは、新婚12日目の夜だった。



帰りもファーストクラスで快適だった私たちは、大した時差ぼけも感じずに新居となるマンションへと帰った。



荷物を運ぶ為に数回訪れたことがあると言っても、いざ自分の住まいと言えるにはまだ程遠く、なんだか落ちつかない。



家具や電化製品の殆どは彼が独身時代から使っていたものや、先月シンガポールに転勤して行った彼の同僚夫婦のお下がりだ。



唯一新品で大きな物と言えば、寝室に鎮座するダブルベッドくらい。



おそらく転勤中に実家の私の部屋の大半を埋め尽くしてしまうだろうそれに、今日から私と彼は寝るのだ。



旅行中、彼とは幾度ものキスを交わし、そしてちょっぴり先のことまで経験した。



パリで過ごした最初の夜、彼はきっと終わりまでするつもりだったんだと思う。



けれど、私の中に挿った彼の指の違和感に泣いてしまったのだ。



労るように慣らすようにと動かされ、それはそれで身体がトロンとしたけれど、増やされた指に身体が痛みを感じて、そのまま止めてもらった。



それからの夜は、彼の指で何度も慣らされイかされた。



イクと言う体感を初めて知った時、頭がショートしたかのように何もわからなくなった。



身体ごとどこかへ投げ飛ばされそうな浮遊感が襲ってくると、無意識に昴さんに腕を回してしがみ付き甘い声で鳴いた。



彼は自然とセックスしたくなるまで待つと言っていたけれど、そうなるように私は彼に開拓されつつあり、実際そうなりたいと思っている。

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