第39話

親類の叔母さんが結婚のお祝いにとくれた有田焼の夫婦茶碗と湯飲みのセットがあるけれど、彼のお湯飲みはお蔵入りかもと心の中で呟く。



大満足でそれを購入した彼とテーブル用品を求めて街を歩いた。



途中、クリストフルを覗いて銀製品のディナー用のフォークやナイフ、スプーン等を2セット買った。



「口に含んで金属独特の味がするものは苦手なんだけど、ここのは大丈夫なんだ。機能的な使い易さと料理の味覚を損なわないカトラリーは一生物だ」



正直、ステンレス製のそこそこ良い物を父と問屋で揃えていた私には、耳の痛い話しだった。



しかも目が飛び出るような価格に平常心が保てない私の横で、彼はスマートに支払いを済ませてしまった。




彼の価値観。



それは私の新たな生活の中で夫婦の価値観となるのだろう。



締めるとこはトコトン締めて、一生逸品を選ぶ昴さんを私は嫌いにはなれない。



むしろ素晴らしいと感じている。

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