第27話
「千捺」
室内照明が最低減にまで落とされると、窓ガラスに映った私の背後に昴さんが近付いて来るのが確認できる。
先程まで感じていた眠気もふっ飛んで、再び心臓がドクドクと激しく暴れだした。
自分の体温よりも熱いと感じる昴さんに、後ろから包み込まれるように抱き締められると、私の早過ぎる鼓動を追うように彼のそれも強く波打っていることがわかった。
「昴さんでも緊張するんですね」
自分だけがドキドキしているんじゃないと言うことが単純に嬉しかったから、そんな言葉がするりと口から零れた。
「相手と初めてそうなる時は、そういうもんだろ」
ああ、これが経験値と言うものなんだ。
「こういうの初めてだからわからないです」
「そうか」
彼はそのまま私を持ち上げて、ベッドまで運ぶと並んで座った。
「夫婦だからって、セックスを義務みたいに考えて欲しくないんだ」
「義務?」
「そう。今の千捺は僕と結婚したからセックスしなきゃって思ってるんじゃないか?」
心を見透かされている。
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