再び学校に登場生首

 俺は生首。その名の通り、頭だけの存在だ。普通の人間だったら生きているわけがない。

 そんなわけで、俺は幽霊とか、怪異って存在なわけだ。

 成仏できずに、あの世へ行けずに、この世をさ迷っている、怪異。


 俺だってそろそろ成仏してもいいかな、と思っていなくもないんだ。けど一人でお行儀よく、誰にも知られず成仏っていうのもしゃくなんだよな。

 怪異っていうのは恐ろしくて、危険な存在じゃないといけない気がする。

 そんな気がする。

 だから誰かを道連れに、俺は成仏するんだ。



 くそう。スイカと間違われて割られるとはな。これだから子供は。

 割れた頭でどうにかこうにか身を隠したが……休み時間が終わり、授業が始まったようだ。さっきとは一転、廊下は無人で、静まり返っている。


 俺は開いていた廊下側の窓からポーンと弾みをつけて飛び込んだ。空中で一回転する。

 どうだ、生首の登場だ! 驚け子供たち、パニックを起こし、一人くらいは滑って転んでお陀仏だ!


生徒A「なにあれ、キモい」


生徒B「人の首? 嘘だろ」


生徒C「とりあえず動画撮ろう、SNSにアップしよう」


 な、なんでどいつもこいつも俺にスマホ向けるんだ。驚けよ、ひっくり返れよ、滑って転べよ、生首だぞ、普通あり得ないだろ!


担任「こら、授業中にスマホ禁止!」


 まるで見世物だ、屈辱だ。これだから今の若者は。生首程度じゃ驚かないのか。

 

 屈辱に震え、俯き、子供たちの撮影が終わるのを待つしかなかった俺。

 子供たちが飽きて席に着くころ、コロコロ転がり、入ってきた窓からポーンと速やかに立ち去った……。



 終。


 

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