復活生首

 俺は生首。その名の通り、頭だけの存在だ。普通の人間だったら生きているわけがない。

 そんなわけで、俺は幽霊とか、怪異って存在なわけだ。

 成仏できずに、あの世へ行けずに、この世をさ迷っている、怪異。


 俺だってそろそろ成仏してもいいかな、と思っていなくもないんだ。けど一人でお行儀よく、誰にも知られず成仏っていうのもしゃくなんだよな。

 怪異っていうのは恐ろしくて、危険な存在じゃないといけない気がする。

 そんな気がする。

 だから誰かを道連れに、俺は成仏するんだ。



 前回は失敗したが、今度こそ人間を道連れにして成仏するぞ。


 深夜。

 俺は一台のトラックの荷台にぽーんと飛び上がって乗り込んだ。

 運送会社のトラックのようだ。やがてトラックは夜道を発進した。

 荷台に隠れている生首の俺が突然姿を現し、生首の状態でぽんぽんはねたら、後続車が驚いて、事故を起こすに違いない。

 もしかしたらそれがきっかけで玉突き事故になるかもな。

 たくさんの人間を道連れに……ふふ、俺も心置きなく成仏できるってわけだ。


 深夜のハイウエイ。

 夜風が顔に気持ちいいな。

 そろそろ後続車を驚かしてもいいころだな。よし。


 キキィーーーー!


 な、突然の急カーブ!?

 やばい、トラックの荷台から車道に転げ落ちてしまった!

 車道を転がって止まらない!


 後続車「ブロロロロ……」


 グシャ。



 終。

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