また復活生首

 俺は生首。その名の通り、頭だけの存在だ。普通の人間だったら生きているわけがない。

 そんなわけで、俺は幽霊とか、怪異って存在なわけだ。

 成仏できずに、あの世へ行けずに、この世をさ迷っている、怪異。


 俺だってそろそろ成仏してもいいかな、と思っていなくもないんだ。けど一人でお行儀よく、誰にも知られず成仏っていうのもしゃくなんだよな。

 怪異っていうのは恐ろしくて、危険な存在じゃないといけない気がする。

 そんな気がする。

 だから誰かを道連れに、俺は成仏するんだ。



 前回は失敗したが、俺は復活した。怪異な生首だからな。

 

 前回、前々回の失敗を生かし、今回は転がり続けて止まらないようなことがないところで人間を脅かし、道連れに成仏しようと思う。


 踏切だ。

 待ち伏せ作戦だ。


 深夜の踏切。俺は線路上に待機し、渡ってきた人間の足にまとわりつき、転ばせる。そこに電車が来て人間はお陀仏。俺は安全な場所に転がりながら隠れ、その様子を眺めながら成仏ってわけさ。


 我ながらいい案だ。


 さっそく線路上に待機だ。

 なかなか誰も通らないな。もっと都会の線路がよかったのか。ここ、けっこう田舎だもんな。場所を変えるか。


 あ、あれ、線路に髪の毛が引っかかって動けない! い、いてて、だめだ、髪が外れない。身動き取れない。このままじゃ……。


 カンカンカン……。



 終。




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る