匿名短文おバカ上司企画 感想

遊月奈喩多

1:万年調査役はネコが好き 感想

お話

https://kakuyomu.jp/works/16818093085544010627/episodes/16818093086218161522


 そうか……、沢村さんはネコなんですね。

 いや、わかりますよ。昼行灯キャラはいざとなると攻めタチだろうと思われがちですが、そんなのはあくまで世間の常識に過ぎないんですよね。受けネコな昼行灯上司がいたっていいじゃないという主張……しかと受けとりましたよ。


 しかし何でしょうね、この主張の清々しさ。

 かつて放送されていたバラエティ番組『学校へ行こう!』の名物コーナーだった「未成年の主張」を思い出しますね。筆者も昔はああしたものに出たいものだと思っていましたが、今となっては未成年の「未」が取れてから早11年、もう主張する未成年を眺めて「ええのぉええのぉ」と呟く側になってしまいました。

 この昼行灯ネコ上司という概念、街頭で叫んでみたら忽ちシュプレヒコールになったりしませんかね。あ、心配せずともスローモーションになった映像のなかで放送室から出されて警官隊に連れていかれたりとかいうことにはならないと思いますよ。ネコになる昼行灯上司……素敵だと思いますもの。


 しかし遠藤さんも、何をしてるかわからない相手をよくそう雑にあしらえるものです。これは、やっぱり受けに回るべきでは?と筆者の脳内会議が踊ってしまいましたが、まぁ我々が普段舐め腐ってまいがちな上司って大体何をしているかわからないし、そもそも何をしているかわかる相手のことを馬鹿にはしないものなんですよね。わかる相手だとその仕事が大変なこともわかったりするので。

 自作小説を書いたり、仕事を定時で帰りたがったり、どことなく親近感を覚えるパーソナリティーを持った遠藤さんが直面したピンチに颯爽と現れる沢村さん、いつもと変わらない言動でスマートに事態を解決してしまう姿……。

 これはイケオジですね。


 やるときはやるイケオジ……遠藤さんの「昼行灯」という評判、そして昼行灯といえばやるときはやるやつ……そんな伝統的クラシカルな流れを組み、そして見事なお味に仕立てた本作、これはよいものですよ。


※ ちなみに最初は遠藤さんのことを男性だと思って読んでいたので、わりとBLじみた絵面で脳内再生されておりました。いや、ほら、筆者オフィスもののBLも好きですし、最初は大したことないやつだと思っていた相手を見直したりしてキュンとくる自分に戸惑いながら、いつしか好きになっている系統のBL大好きなんですよ。いや、具体的にどんな作品とかが思い当たるわけでもありませんが、そういうシチュエーションのBLって萌えますよね、萌えませんか? 萌えますよね?


 ということで、『万年調査役はネコが好き』の感想とさせていただきます。

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