帰宅

19話

帰宅すると麗は、私に後ろから抱きついてきた。

「桜、あんまりクギさんと仲良くしないで。俺すげぇ、心配になった。」

抱きつく力が少し強くなった。

「大丈夫だよ。麗が心配しなくても仲良くなれないよ。釘井さん、麗よりも怖いから。」

「それでも心配だよ。」

と言いながら私の靴を脱がし自分の靴も脱いでいた。

「ねぇ、麗……麗って何やってるの?嘘なしでね」

ゴクリと唾が喉を通る音と何故か冷や汗を流している私と震えている麗。

「ア……アパレルだよ」

時々……最近は、朝に帰ってくるの。わざと知らないふりをしていた。

「じゃぁ、なんで夜居なくなるの?」

麗のハグしてる手に力が入る

「……バーのアルバイト」

そういえば出会いもバーだったけどあの時は、客だったはず。

「1回ベッドに座って話そうか」

ベッドの上に座り隣に座る麗に私は麗の手の上に手を置いた。

「クギさんの紹介で時給のいい所紹介してもらったんだ。ボディーガードの仕事で時々夜出てたんだ。」

「そっか。でも、隠す必要ないのに怖かった?」

「うん。けど、合わないんだ。でも、桜とデートしたいしこんなボロアパートじゃなくて早く引っ越したかったんだよ。」

珍しく麗が泣いた。背中をさする。

「もう寝ようか。明日お互い入れる日だから」

「うん。」

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